ホームインスペクション(住宅診断)は建築士の新しいビジネスか?

多くの士業が仕事量の減少に苦労していることをご存知の方も多いでしょう。弁護士でも集客に苦労して生活苦になっている方も決して少ないわけではありません。住宅に関する分野で代表的な士業といえば建築士です。

この建築士も仕事量や報酬単価の減少によって、厳しい時代が続いています。主な業務である設計や工事監理業務の報酬が下がっており、将来不安を抱える建築士も多いようです。

ホームインスペクションと建築士

建築士事務所(設計事務所と呼ばれることが多い)の営む建築士の方でも、営業をあまりしない方が多いです。建築士として勤めていた時代から営業をする機会も少ないことも影響していることでしょう。

他の士業でもそうですが、全ての建築士が仕事量や単価の減少に苦しんでいるわけではありません。むしろ多くの紹介を受けて依頼される仕事の全てをこなしきれない方もいます。

ところで、建築士のビジネスについて少し考えてみたいと思います。今、住宅業界は新築ではなくストックの時代へと移行していこうとしています。ストックとは、既にあるものです。既存の住宅、つまり中古住宅の売買を増やし、リフォームやリノベーションの市場規模を拡大させる方法で流れていっています。

建築士の主な業務である設計や工事監理は、新築住宅の供給が減れば仕事量が減っていきます。一方でリノベーションが増えれば、その設計・工事監理は増えていく可能性があります。既にここに注力している建築士事務所も多いですね。

しかし、新築と異なりリフォームやリノベーションは工事費用が低く、設計や工事監理業務の報酬も低くなりがちです。

私の会社(アネスト)では、ホームインスペクション(住宅診断)を始めて13年目になりますが、毎年、確実にご利用件数が増えてきており、今後も拡大が見込まれます。ストックの時代への移行は、中古住宅のホームインスペクション(住宅診断)の需要拡大にもつながりますし、また今まで認知度が低かったホームインスペクション(住宅診断)に対する認知度向上も強く影響しています。

このホームインスペクション(住宅診断)という業務は、建物の診断ですから当然ながら建築士の知識や経験を活かすことができます。と言うよりも建築士にこそ最も合う業務です。今現在、アネストでは40名程度の一級建築士が全国でホームインスペクション(住宅診断)を行っておりますが、その実績や経験からも建築士とホームインスペクション(住宅診断)の相性の良さを強く感じています。

どの業界も長い歴史の中で大きくかわっていくものですが、これからの建築士にはホームインスペクション(住宅診断)を主要な業務の1つとなっていき、10年、20年先にはこのことが当然のことになっていることでしょう。建築士の方は早めに取り入れてみてはいかがでしょうか。ちなみに、アネストでは、全国で一級建築士のパートナーを募集しています。

執筆者:荒井康矩(株式会社アネストブレーントラスト