ホームインスペクションで使用する道具

住宅の劣化状態や不具合の有無を診断するホームインスペクションでは、目視や打診といった調査手法のほかに調査器具を使用した調査も行います。どのようなホームインスペクションでも同じ調査器具を使用するわけではなく、調査内容や目的に応じて使用するものは異なります。

ここでは、ホームインスペクションで使用される調査道具・器具について概要を説明しています。

1.住宅購入時・引渡し時等に行う1次診断で使用するもの

最初に1次診断で使用する調査器具・道具を紹介します。住宅購入時の参考として利用するときや、購入した住宅の引渡し時などに利用するホームインスペクション(住宅診断)が対象となるものです。

1-1.クラックスケール

クラックスケール

クラックスケールとは、ひび割れのサイズを計測する道具です。特に基礎のひび割れを測定するときに活躍します。

目視で基礎にひび割れを確認したとき、その個所へクラックスケールをあててひび割れの巾を計測するのです。ひび割れは1mm以下の巾であることが多く、普通の定規では計測できません。

1-2.打診棒

打診棒

打診棒も基礎的でありながら大事な調査器具です。玄関や玄関ポーチなどのタイルの浮き、基礎モルタルの浮きなどを調査するために使用します。

タイルなどは叩くと簡単に割れてしまうことがあるため、表面を転がすようにして使用し、音の違いを確認することで浮きの有無を調査します。

1-3.水平器(水泡タイプ・デジタルタイプ)

水平器1

水平器は床や壁の傾き・歪みを確認するときに使用します。水泡タイプのものは気泡の動きとメモリによって角度をチェックし、デジタルタイプのものは数値で表示されます。

何箇所も素早く測定するとき、部分的な傾きを確認するときなどに便利です。

1-4.懐中電灯

懐中電灯

懐中電灯は当然ながら暗いところを見るときに使用しますが、特に床下の調査時に活躍します。他にも、屋根裏や天井裏、シンクの奥などをチェックするときに使用することもあります。

1-5.ヘルメット

ヘルメット

ヘルメットは調べるために使用するのではなく、調査時の安全確保のためであることは言うまでもありません。建築中の住宅の検査をするときに必要となります。

1-6.脚立

脚立

目視調査によって手の届かない箇所(壁の上部など)で触診や打診したいときに使用することもあれば、天井裏点検口の内部を覗くために使用することもあります。

ホームインスペクションの必需品ですね。

1-7.水平器(レーザータイプ)

ホームインスペクションで使用する道具

レーザータイプの水平器は、床や壁の傾きを調査するときに使用します。これだけで測定できるわけではなく、メジャーを併用することで傾きを計測することができます。床や壁を長いスパンで計測するときに便利です。

建物外部で傾斜測定するときの使用に向いているものもあります(但し、一次診断では使用しません)。

1-8.鏡

鏡

鏡は必須ではありませんが、使用すると便利なシーンがあります。例えば、基礎水切りの裏側などをホームインスペクターが都度屈んで確認するのは大変ですから、鏡をあてて確認することがあります。バルコニーでサッシ下側を確認するときにも使用することが多いです。

1-9.メジャー

メジャー

ホームインスペクションではいろいろなものをメジャーで計測することがあります。特に建築中の検査では、基礎配筋の検査や構造躯体の検査時などに非常によく使用します。完成物件や既存住宅(中古住宅)でも、レーザー水平器との併用で必要となります。

2.不具合の原因や被害範囲を確認するために使用するもの

次に建物に不具合があるときに、その原因や被害範囲を確認するために使用する調査器具を紹介します。これらは、必ず使用するというわけではなく、建物に現れている症状に応じて適宜使用するもので、使用者の判断によります。

2-1.壁裏センサー

壁裏センサー

室内の壁にこの壁裏センサーをあてて使用します。壁の内部にある木材等に反応するので、筋交いや柱の位置を調べることができます。内部を透視するわけではないため、センサーが反応する位置などから推測するものです。

2-2.水分計(構造木部用)

水分計1

水分計は木材に含まれている水分量(含水率)を計測するもので、写真のものは実際には土台や大引きなどを測定するときに使用するものです。

雨漏りや結露、給排水管からの漏水などの被害に合ったときに使用するものです。目視・触診では被害がないと感じても、これで測定しないと正確に判断できないことがあります。

また、不具合調査ではなく1次診断でも床下などで主要構造部の水分量を計測して乾燥状態を確認するときに使用することも多いです。

2-3.水分計(木材用)

水分計2

水分計のなかでも下地材として使用されるボードなどの測定に向いている機材もあります。こちらも雨漏りなどの漏水被害時に使用することがあります。水分計は用途に応じて使い分けを要することがあるのです。

2-4.鉄筋探査機

鉄筋探査機

鉄筋の有無や位置を調査するときに使用します。機材によっては鉄筋の径を測定できるものもあります。

基礎に大きなひび割れなどの症状が確認され、基礎配筋の施工が適切であったか心配されるときなどに使用されます。また、古い住宅で鉄筋の有無が心配されるときに使用されることもあります。

2-5.コンクリート・シュミットハンマー

シュミットハンマー

コンクリート・シュミットハンマーは基礎コンクリートの強度を確認するときに使用するものです。基礎の表面にはモルタルが塗られていることが多いため、床下側から使用することが一般的です。

ただ、コンクリートは時間の経過とともに強度が高まることもあり、計測しても異常値が出ることは多くありません。

2-6.レーザー距離計

レーザー距離計

普段は必要なく使用する機会の少ない調査器具です。メジャーでは計測するには計測距離が長いときに便利なもので、例えば軒の高さが疑わしいときに計測した事例などがあります。

2-7.赤外線サーモカメラ

赤外線サーモカメラは対象物の温度を計測し、温度分布を確認することができるものです。これを使用することで、壁内部の断熱材の有無などを調査することができたり、雨漏りの侵入箇所や被害範囲を予測したりできることがあります。

断熱材の有無を調査する上では効果を発揮しやすいですが、雨漏り調査では役立たないことも多く、期待する成果をあげられないこともしばしばです。

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