ホームインスペクションで建物を壊すか?

住宅をホームインスペクション(住宅診断)するということは、建物の一部を壊すのか心配する人から質問されることがあります。壁や床などの一部を破壊して内部を見るのであれば、それにより建物を傷めるのではないか、また誰がそれを復旧するのかと心配するようです。

ホームインスペクションで建物を壊すことはない

一般的に、住宅の売買に際して行われるホームインスペクション(住宅診断)は、1次調査と呼ばれるものであり、依頼者が事前に依頼して、各社の調整などをしておかない限り、建物の一部を壊してその内部を確認することはありません。

インスペクションを行うときの現状のままで、目視で見える範囲が対象となるのです。

ホームインスペクションで建物を壊すか?

それでは、ホームインスペクションでは、床下や小屋裏、壁の内部は一切見ないのでしょうか?

一般的なホームインスペクションでは、点検口や床下収納庫などから、床下などのスペースも確認します。床下点検口からのぞいて確認したり、そのスペースへ進入していって確認したりします。屋根裏も同様です。

但し、壁の内部はほとんど見られないことが多く、壁内の調査は過度に期待してはいけません。

点検口の無い住宅

ところで、床下や屋根裏に全く点検口が無いときにはどうするのでしょうか?

ホームインスペクションでは、建物の一部を壊さずに現状のままで確認する作業ですから、点検口が全くなければ残念ながら床下や屋根裏などを確認することができません。そのため、点検口が無い住宅のホームインスペクションを依頼するのであれば、調査日の前までに点検口を設置しておくことが望ましいです。

自分が所有する住宅であるならば、工務店などに依頼して点検口を設置してもらうとよいでしょう。設置費用は業者にもよりますが、1.5~3万円程度もあれば大丈夫でしょう(設置個所が複数ならもう少しかかる)。もちろん、工事の発注前に見積書をもらってから依頼しましょう。

難しいのは購入前の住宅に対してホームインスペクションを実施したい場合です。購入前に依頼する人は非常に多く、一般的な利用方法ではあるのですが、売主が了承しない限り点検口を設置することができません。仲介業者が点検口を設置するように積極的に売主と交渉してくれればよいのですが、その仲介業者が面倒だと考えて動いてくれないこともあります。

点検口の設置にかかる費用負担をどうするかも含めて、仲介業者に売主と交渉して頂くようお願いしてはどうでしょうか。但し、難しい場合が多いです。

自宅をリフォームするときにホームインスペクションを行う人も増えています。その場合は、工事着手前と解体直後に利用することで、効果が期待できます。解体後には見えなかった部分が見えるわけですから、今まで気づいていなかった問題に気づく可能性もあります。

購入前では壊して確認することはできないものの、中古住宅を購入してからリフォームするのであれば、リフォームのタイミングでもホームインスペクションを利用すると効果的だと言えます。

まとめ

一般的なホームインスペクションでは、建物の一部破壊を伴う調査は行わない。

住宅購入前のホームインスペクションでは、点検口が無ければ、隠れている範囲が広く、確認できないことが多い。しかし、売主に点検口を設置してもらうことは難しい。

所有している自宅のホームインスペクションであれば、自分自身で事前に点検口を設置しておくことでより有意義なホームインスペクションを期待できる。