中古住宅購入時のホームインスペクション(住宅診断)はリフォーム前か後か

中古住宅を購入するに際して購入後にリフォームする人は多いです。壁や天井のクロスを張り替えたり、床のフローリングを張り替えたり、キッチン・トイレ・洗面台などの水周り設備を交換したりする人は多いものです。間取り変更を伴うような大きなリフォーム、リノベーションをする人もいます。

中古住宅の購入後にリフォームする人は、相当な割合になるでしょう(クロスの張替えのみを含めて)。

中古住宅購入時のホームインスペクション

ところで、中古住宅の購入時にホームインスペクション(住宅診断)を利用する人も非常に多いです。このホームインスペクション(住宅診断)を利用するタイミングは、中古住宅購入後にリフォームを考えている場合、いつがよいのでしょうか。

その答えは、ホームインスペクション(住宅診断)を利用する目的やリフォームの内容・規模によって考え方が異なります。

○購入判断のためにホームインスペクション(住宅診断)を利用したいとき

購入前の判断材料としてホームインスペクション(住宅診断)を利用するのであれば、自動的にリフォーム前に利用することになります。リフォームは売買契約を交わし、引渡しを受けてからするのが一般的であるためです。稀に引渡し前にリフォームするケースもありますが、身内同士の売買であるなど特殊な事情がない限りはないことです。

○適切なリフォーム内容、補修内容を知るためにホームインスペクション(住宅診断)を利用したいとき

購入後に実施するリフォームの工事内容や補修すべき項目を把握する目的であれば、基本的には購入前・購入後のいずれであっても大きな違いはないと考えるかもしれません。

しかし、必要な補修工事の内容が想定していた予算を大幅に上回るものであるならば、どうでしょうか。それほどまでに補修コストが大きいのであれば、その中古物件を買わなければよかったということもありえます。しかし、購入後(契約後)であれば解約しても手付金は戻りませんし、場合によっては違約金を支払う必要もあります。

できれば、適切なリフォーム内容、補修内容を知るためであっても、購入前にホームインスペクション(住宅診断)を利用した方がよいでしょう。

○リフォーム工事の施工品質が心配でホームインスペクション(住宅診断)を利用したいとき

リフォーム工事の施工品質をチェックするには、工事が始まってからでないと専門家でも確認できませんから、もちろん工事が始まってからの利用です。そして、工事が完了してから仕上がり状況をチェックするためには工事完了後の利用も必要となります。工事中と工事完了の両方ということです。

しかし、単純にリフォームの工事中と完了後の2回の利用というわけでもありません。予定しているリフォームの内容・規模・工程・期間によっては、工事中に2回や3回の利用が推奨されることもありますし、逆に工事中か完了後の1回のみで十分だということもあります。回数については、予定しているリフォーム内容をホームインスペクション(住宅診断)を行う業者に伝えて相談しましょう。

○仕上げ材(クロスやフローリング等)の張替えのみのリフォームをする場合

中古住宅購入後のリフォームが、天井や壁のクロス張替え、床のフローリング張替え程度であるならば、購入前にホームインスペクション(住宅診断)を利用した方がよいでしょう。つまり、張替えの前です。

仕上げ材の張替え後にホームインスペクション(住宅診断)を利用した場合、仕上げ工事の品質をチェックしてもらうことができますが、それは一般の人が丁寧にチェックすればある程度はわかるものです。判断に困ったときなどに専門家に相談したり判断してもらったりできるメリットもありますが、もっと大事なものを優先させるには仕上げ材の張替え前にホームインスペクション(住宅診断)を利用する方がメリットを得られます。

建物に何か問題がある場合、その症状が仕上げ材に現れることがあります。ひび割れであったり、シミであったり、歪みであったりです。これらの症状の有無を確認していくことは、ホームインスペクション(住宅診断)をする上で重要なことですが、仕上げ材を張り替えてしまうと一時的に症状がなくなってしまい、建物の抱える問題点がわかりづらくなることがあるからです。

このことは、建物外部についても言えることです。外壁の塗り替えをする予定があっても、塗り替え前にホームインスペクション(住宅診断)した方が症状を確認しやすいです。

リフォームで綺麗に化粧する前にホームインスペクション(住宅診断)を利用することをお奨めします。

○床・壁・天井の解体を伴うリフォームをする場合

リフォームによっては、床や壁、天井の一部か全部を解体して、下地材から施工しなおす場合があります。こういったリフォームをするときが、最も判断に迷うところです。

解体工事をしたところでホームインスペクション(住宅診断)を利用すれば、それまでに隠れてみえなかった範囲を確認することができます。しかも、隠れていたわけですから、売主(それまでの所有者)なども見ていなかった範囲を見る、つまりはじめて明らかになることがありうるわけです。

解体後の第三者チェックは重要

リフォーム業者が知識・経験・技術・会社や個人の信用度において、満足できるものであるならば、リフォーム業者の提案・意見を期待するのも1つの方法ですが、解体時に発見された問題点を隠蔽したり気づかなかったりするリフォーム業者も多いため、解体直後には一度、第三者に見てもらうべきところです。

一方で、購入前(もちろん解体前)にも第三者にホームインスペクション(住宅診断)をしてもらった方が、その時点でわかる範囲の情報から購入判断に役立てることもできます。

つまり、中古住宅の購入後に床・壁・天井の解体を伴うリフォームをする場合は、購入前と解体後の2回、ホームインスペクション(住宅診断)を利用することがお奨めです。

リフォームの規模・内容・工程・期間によっては、工事中や工事完了後の利用も検討するとよいでしょう。

中古住宅の購入とリフォーム、ホームインスペクション(住宅診断)は、セットで考えられる時代になりましたが、個々のケースによって適切な利用の仕方は異なるものです。ときには、ホームインスペクション(住宅診断)業者にも相談して利用のタイミングを検討しましょう。

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