新築住宅の断熱材の立会い検査(インスペクション項目と注意点)

新築住宅の断熱材の立会い検査(インスペクション項目と注意点)

木造軸組工法(在来工法)の新築住宅の建築中に検査(インスペクション)すべき工程について、その検査項目と注意点を解説するシリーズの3回目です。これまでに、以下の2つをご紹介済みです。

今回ご紹介する工程は、断熱材の施工に関することです。断熱材の工法は内断熱と外断熱にわけることができますが、ここでは最も一般的である内断熱について取り上げています。

断熱材の基礎知識

新築住宅の断熱材施工の検査について解説する前に、断熱材の基礎知識を整理しておきます。

断熱材が施工される箇所

断熱材は建物の外部と接する箇所に施工されるものです。外部に接する面ということは、外壁、屋根、基礎などが思い当たりますね。

外壁の断熱材は、壁の中に施工されるため、建物が完成した後は一部を除いて確認することができない箇所です。完成後でも確認できる箇所は、点検口から覗いて見える箇所などに限られます。

外壁の断熱材

次に屋根ですが、実は屋根面に断熱材を施工する工法(屋根断熱)は少なく、天井裏の部分で断熱する(天井断熱)ことが多いです。2階建ての住宅であれば、2階の天井裏(=屋根裏)に断熱材を設置していく工法です。

天井の断熱材

基礎の断熱については、実は屋根と同様に基礎のある個所で断熱する工法(基礎断熱)を採用することは少なく、床(床下側)の部分で断熱することが多いです。

床の断熱材

断熱材の種類

断熱材にも種類があり、グラスウールやセルローズファイバーなどの繊維系のもの、硬質ウレタンフォームなどの発砲系のものがあります。最近の住宅では、グラスウールや発泡プラスチック系のものを見かけることが多いです。

ここでは、それぞれの断熱材の特徴にまでは言及しませんが、どの工法においてもその工法に応じた適切な施工が必要です。施主の要望に応じて経験したことのない断熱工法に対応した工務店が施工ミスしてしまう事例がいくつも確認されており、断熱工法について工務店に要望するときは、経験も確認しておいたほうよいでしょう。

場所ごとに断熱材のホームインスペクション

それでは断熱材のインスペクションでチェックすべき点を場所ごとにご紹介していきます。

外壁面の断熱材

外壁面の断熱材は、グラスウールが使用されることが最も多いです。外壁面のグルスウールは、丁寧に施工しておかないと重力で下方向へすれ下がってきてしまうため、必ず確認しておくべきでしょう。室内側の壁(下地ボード)を施工してしまうと目視確認できなくなってしまうため、建築中のインスペクションが必要な箇所です。

ここでよく指摘に上がるものとしては以下のような事例があります。

  • 断熱材の施工が抜けている箇所がある
  • 隙間がありきちんと断熱できていない(コンセント周り)
  • グルスウールの留め方が悪く、ずれている

チェックすべき項目としては以下があります。

  • 必要な箇所に施工されているか
  • 断熱材と断熱材の隙間
  • コンセント周りの隙間
  • 外壁を貫通するもの(配管等)の周りの隙間
  • 断熱材の留め方
  • 断熱材のずれ下がり(グラスウールの場合)
  • 断熱材の耳の重ね止め(グラスウールの場合)
  • 厚さ(発砲系の場合)

屋根裏の断熱材

屋根裏の断熱材は前述の通り、屋根面で断熱するか天井面で断熱するかのいずれかです。それぞれのインスペクション項目は以下の通りです。

(屋根面で断熱している場合)

  • 断熱材の隙間
  • 妻側の断熱施工の有無

(天井面で断熱している場合)

  • 断熱材の隙間
  • 断熱材が乱雑に置かれていないか

床の断熱材

床の断熱は、床下側で確認する必要があります。床の裏側にあたる部分に断熱材を施工していますが、下に断熱材が落ちてしまっていることが本当に多いですから注意して確認したい箇所です。

  • 断熱材の隙間
  • 断熱材が垂れ下がり・落下

断熱材のインスペクションは、必要な箇所にあるかどうか、また隙間なく丁寧に施工されているか、ずれ・落下等になっていないかを確認することがメーンですから、技術的にはそう難しくないと感じるかもしれません。

ただ、現場で施工状態を見たときに一般的なものであるかどうか判断できないことは多いですし、意外とどこが必要な箇所であるか判断できないことも少なくありません。気流止めのための断熱材が抜けていることなどは、気づかずに放置され、暮らす中で「どうも我が家は寒いなぁ」と感じている人も多いです。

アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。