住宅購入の値引き交渉を成功させるポイント

住宅購入に際して、購入したい物件について売主と価格交渉(値引き交渉)をするときには、値引きと関係のある事項について買主が把握しておく必要があります。闇雲に「値引きしてください」だけでは、値引き交渉の成功率は下がるからです。

住宅購入の値引き交渉を成功させるポイント

売主や不動産業者に対して、「値引きしてもいいかな」と思わせるため、また値引きできる巾の上限まで価格を下げてもらうためにも、この記事で必要なことを学ぶとよいでしょう。

1.対象物件の状況把握

値引き交渉に際しては、対象物件に関する情報をできるだけ集めて買主が把握しておく必要があります。物件の状況を正しく把握してみたところ、そもそもあなたが希望している金額が高すぎるということもありうるからです。値引きの目標金額が間違っていては、成功したと思っていた結果も実は失敗だったということもあるでしょう。

交渉前に把握しておきたい情報は以下の通りです。

  1. 地域相場の把握
  2. 物件の人気度の確認
  3. 販売開始時期
  4. 物件のメリット・デメリットの確認
  5. 売主が売り急いでいるか
  6. ホームインスペクションで建物の状況把握

これら全てを買主が自力で正確に把握することは困難ですが、できる限り情報を集める努力をしましょう。以降で1つ1つ解説します。

1-1.地域相場の把握

どれくらいの価格で売買されているのか、その物件の所在する地域の相場価格を把握することは必要です。但し、売主と買主が最終的に合意した金額(成約価格)を一般の人が知ることは非常に難しいです。

現実的にできることとしては、販売中の物件情報を不動産ポータルサイトなどでできる限り多く見て、地域の販売価格の相場観を養うことです。そして、ほぼ間違いなく販売価格よりも成約価格の方が低いですから、販売価格より5~10%程度は低めに考えておきましょう。

地域相場をチェックするとき、物件の大きさや築年数に注意しましょう。建物や土地の面積が違いすぎる物件と比べても参考にならないことが多いです。大きさ(面積)が違っても坪単価(または平米単価)を計算すればよいと考える人が多いですが、大きさが違いすぎる場合は単価相場に小さくないずれが生じますから、参考にしづらいのです。

比較対象として、築年数や大きさの条件が近いものを選ぶようにしましょう。また、極端に高すぎる物件や安すぎる物件は除外した方がよいでしょう。何か特別な理由がある可能性が高いからです。

1-2.物件の人気度の確認

値引き交渉をする際、その物件の人気度の確認は非常に大事です。見学者が多くて前向きに検討する人も多い物件では値引き交渉をしても相手にされず、先に誰かが買ってしまうことが多いです。人気の高い物件であれば、値引きを優先するか、購入を優先するか考えておかなければなりません。

人気度の確認方法は、営業マンに聞いてみることと、他の見学者がどれくらいいるか見ておくことの両方で確認するとよいでしょう。但し、対象物件がオープンハウスをしているわけでもない限り、他の見学者が多いかどうか把握することは難しいです。

例えば、土日でオープンハウスをしている物件であるならば、その両日ともに見学することをオススメします。他の見学者の有無もわかりやすいですし、再度物件を見ることで新たな気づきを得られるメリットもあるからです。

1-3.販売開始時期

購入を希望する物件がいつ頃から販売され始めたのか知ることは、値引き交渉をする上で非常に重要です。販売開始当初は値引き交渉に応じてもらいづらい(もしくは値引き額も小さい)ことが多いですが、販売開始から期間が経過すれば売主も値引きせざるを得ないと考えやすいです。

売主や不動産仲介業者にいつから販売し始めたのか聞いてみましょう。もし、これまでに販売価格の引き下げがあったのであれば、その引き下げ時期も聞いておくとよいでしょう。引き下げてすぐは、更に大きな値引きを希望しても通りづらいことが多いです。

販売開始からの経過期間は、その物件の人気度の把握にもなります。

1-4.物件のメリット・デメリットの確認

値引き交渉が成立した後に買主が後悔しないためにも、その物件のメリット・デメリットを正確に把握しておきましょう。交渉成立後に、物件についていろいろ調べた結果、デメリットに気づいたからといって更なる値引きを希望しても、交渉成立後では相手にしてもらえないことが多いです。売主によっては、合意していた金額での売却も拒否することがありますから注意が必要です。

1-4.売主が売り急いでいるか

売主が早く売りたいと思っているかどうかは重要なことです。早く売るためなら値下げに積極的に応じるというケースはよくあることです。

不動産会社が売主である物件であれば、売主から積極的に値引き提示をしてくることもあります。「今月末までに決済してもらえるなら、300万円値引きしますよ」といった期限の条件付きの提案が多いです。時期的には、年度末や会社の決算期末によく見られることです。

個人が売主となっている中古住宅では、不動産仲介業者から感触を聞いてみるしかありません。本当の話が聞けるかわかりませんが、ヒアリングしておいた方がよいでしょう。「なぜ自宅を売るのか?」と聞くと急いでいるかどうか見えてくることもあります。

1-5.ホームインスペクションで建物の状況把握

値引き交渉後に後悔しないためという意味では、ホームインスペクション(住宅診断)も早めに実施しておくとよいでしょう。値引き交渉の成立後に利用する人も多いですが、インスペクションで大きな不具合(瑕疵)が見つかればせっかく交渉したことも無駄になることがあります。

また、ホームインスペクションで見つかった不具合によっては、その補修費用相当分の値引きを交渉しやすいこともあります。但し、ホームインスペクションは本来なら値引き交渉のために使うものではなく、購入後の建物トラブルにあうリスクを減らすためのものです。

2.取引形態・関係者の把握

値引き交渉を行うに際しては、その物件に関することだけではなく、その取引(売買)に関わる人とたちのこともきちんと把握しておいた方がよいです。把握すべきこととその理由を以降で説明します。

2-1.売主から直接購入か仲介か

住宅を購入する際の取引形態は、以下のパターンに分別できます。

  • 売主から買主が直接購入する
  • 売主と買主の間に不動産仲介業者が介在する
  • 売主が委託した販売代理会社から買主が購入する

1つ目の「売主から買主が直接購入する」は、不動産会社が売主である物件の大半に該当します。売主との直接交渉であるため、売主から直接話を聞くことができ、話も早いです。

2つ目の「間に不動産仲介業者が介在する」場合は、その仲介業者が買主に対して売主のコメント・主張を伝えることになるのですが、事実と異なることを告げる営業マンも多く、真実がわかりづらいことがあります。

不動産仲介業者が介在する場合は、その業者が買主の味方となってくれることもありうるのですが、その点は次の「2-2.不動産仲介業者の立場」で解説します。

3つ目の「売主が委託した販売代理会社から買主が購入する」は、新築マンションでよく見られる取引形態です。多くの場合、売主から販売代理会社に対して値引き条件について制限をかけつつも任せています。

2-2.不動産仲介業者の立場

不動産仲介業者は、売主と買主の双方の仲介をするケースと、いずれか一方のみを仲介するケースがあります。後者の場合は仲介業者が2社介在することになります。

前者の場合、人気物件であれば売主にとってメリットの高い(つまり高く買ってくれる)買主を優先することが基本路線ですが、その他の条件(住宅ローン審査に落ちる心配がない人等)も十分に考慮されます。人気のない物件であれば、買主の希望が通りやすい状況にあると言えます。

後者の場合(2社介在するパターン)、買主側の仲介業者は他にどれだけの購入検討者がいるか把握できないため、買主以上に仲介業者が焦っていることがあります。この場合、値引き交渉も有利に進みづらいです。

また、新築住宅で不動産仲介業者が介在するケースでは、売主である不動産会社の顔色を窺う不動産業者が多いため、値引き交渉をやりづらいことがあるのですが、売れ行きが悪くて売主が焦っている物件では成約させたい仲介業者としては値引き交渉に積極的になることもあります。

3.値引き交渉のまとめ

住宅購入の値引き交渉については、いろいろなことが交錯して影響するものだということをわかってもらえたと思います。

1つ1つの不動産は唯一のものですから、他に購入希望者がいる時点で買主は交渉上、不利になってしまいます。一方で他に希望者がいないときは非常に有利な立場となり交渉しやすくなります(人気度の影響が大きいということです)。つまり、この状況把握こそが最も大事であると言えます。

 
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