新築分譲マンションにもホームインスペクションは必要?

新築マンションのホームインスペクション

新築の分譲マンションの売買契約を済ませて、完成日や引き渡し日が近づいてくると、販売会社から、内覧会のご案内(通知)が届くことになるでしょう。そこで、内覧会について調べてみた結果、プロのホームインスペクションを依頼すべきかどうか検討する人が多くなります。

  • 内覧会とは何か?
  • ホームインスペクションとどんなサービス?必要なことなの?

と疑問がわいてくるのは自然なことです。

今回は、新築分譲マンションを購入した人向けに、内覧会とホームインスペクションについて解説します。

新築マンションのホームインスペクションと内覧会同行サービス

内覧会同行サービス

新築マンションを購入した人が、第三者の専門家にホームインスペクションを依頼するケースは多いですが、そのインスペクションについて基礎知識を紹介します。

新築マンション向けホームインスペクションは内覧会同行のこと

新築分譲マンション向けに実施されているホームインスペクションとは、基本的に内覧会同行や内覧会立ち会いサービスと呼ばれているものです。建物の竣工後、引き渡しをする前のタイミングで、施工品質をチェックするサービスです。

ちなみに、このタイミングで買主がチェックする機会のことを内覧会と呼ぶことが一般的です。

調査対象範囲は専有部分のみか?

新築マンションの内覧会同行サービスでは、調査対象範囲が、購入した住戸であることは理解できていると思いますが、具体的にはどこまで含まれているのでしょうか。

専有部分だけがチェック対象だと思われている方もいますが、実は一部の共用部分も対象となります。具体的には、購入した住戸に付いているバルコニーやポーチです。つまり、買主が専用使用できる共用部分が対象となりえるのです。

マンションや購入した住戸によっては、専用使用できるトランクルームが共用部にあることがありますが、これもチェックすべき対象です。

調査の所要時間と費用感

マンションの内覧会における調査の所要時間は、部屋の大きさによりますが、1.5~2時間くらいが多いです。100平米を超える広さがある場合は、3時間くらいかかることもあります。ただし、買主が自分たちだけでチェックする場合、傷くらいしか見ていないことが多いため、もっと短時間で終えている人が非常に多いです。

プロに同行依頼した場合、つまりインスペクションを依頼した場合にかかる検査費用は、4~5万円位が相場です。一戸建て向けインスペクションに比べると安価に依頼できますが、その理由は以下のとおりです。

  • 調査の所要時間が一戸建てより短時間
  • 一戸建て程の技術レベルが必要ない
新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

新築マンションのホームインスペクションが必要か

ホームインスペクションが必要か

よくホームインスペクションが必要かどうかについて話すことがありますが、ここでは新築分譲マンションに関しての必要性をお話します。

よくある誤解:「新築なら問題ない」は本当か?

マンションでも一戸建てでもよく言われることですが、「新築住宅だから問題ないだろう」との考えは、誤解があります。新築でも中古でも関係なく、建物には問題が生じているケースがあり、気づかず生活している人がいるものです。

「わざと」施工ミスをすることはなくても、ミスにより生じることはあるのです。新築というだけで容易に判断するべきではないでしょう。

でも本当にプロへの同行依頼が必要か?

仮に施工ミスがなどの問題の可能性があるとしても、本当にプロに同行依頼してインスペクションしてもらうべきかどうかは、人によって意見がわかれるところです。20年以上もの期間、永くマンション内覧会同行サービスをしてきた実績があるアネストでは、以下のように考えています。

  • 2010年頃までは酷い施工の物件も多かった
  • その後、分譲マンション業界の施工品質が向上されてきた
  • マンション内覧会で検査できる範囲が仕上りや設備面の確認が主で、構造耐力上の部位をほとんど確認できない

以上のことから、全ての人にとって専門家の同行、インスペクションが必要とは考えておりません。ただし、たとえ、構造耐力上の部位が見られなくても、また施工品質がよくなっていても、自分たちだけでは不安があるので、プロに診て欲しいと考える気持ちも理解できます。それぞれが、必要に応じて判断するとよいでしょう。

どんな不具合が見つかるのか?新築マンションでも見逃せないチェックポイント

どんな不具合が見つかるのか?

新築マンションの内覧会でチェックをしていると、いろいろな指摘事項が見つかることがあります。ここでは、チェック時の参考になるように、不具合の事例を紹介します。

壁・天井のクロス(壁紙)の著しい浮き、建具の建て付け不良(動作不良)が、代表的な指摘事例です。

その他に見つかることがあるものとしては、玄関の床タイルの浮き(たまに割れも見つかる)、天井点検口内のダクトの外れ、キッチンや洗面台のシンク下部の水漏れ、トイレの露出配管からの水漏れといった事例があります。

ダクトの外れについては、毎年、数回は見つかっているのですが、内覧会前に施工者側が全戸で社内チェックをしていないのかなと不思議に思うことがあります(点検口の中を覗けばすぐにわかることなので)。

やや難しいのが、シンク下部や露出配管の水漏れです。大量の水漏れなら、排水テストをしたときにすぐに漏りますが、軽微な場合は、その時点では漏らず、少し時間をおいてから漏れているケースが見られるからです。よって、内覧会の時点で漏っていなくても入居時や住み始めてから多少の日数が経過した時点で再チェックするとよいでしょう。

売主や建築会社は嫌がらない?

引渡し前の内覧会に専門家に同行依頼すると、売主や建築会社が嫌がらないか、関係性が悪化しないかと心配する人がいます。これは、相手次第ではあるのですが、新築マンションにおいては、その心配は基本的には不要です。

内覧会に専門家を同行する買主は、この20年間で相当な人数に及んでおり、売主側が拒否したり、拒否反応を示したりするケースはほとんどなくなりました。分譲マンション業界は、大手不動産会社・建設会社が多く、対応は昔よりよくなっています。

ただし、建築会社や販売会社によっては、事前にプロを同行するかどうか聞くことはあります。それは、拒否反応ということではないようです。

ホームインスペクションの依頼タイミングと必要書類(新築マンション編)

インスペクションの依頼タイミングと必要書類

新築マンションのホームインスペクションを依頼する時期(タイミング)と必要書類について解説します。

内覧会前?引渡し前?ベストなタイミングとは

新築マンションでホームインスペクションを入れられる時期は限られており、基本的には、建物完成後・引き渡し前の内覧会のタイミングです。建築途中に第三者のインスペクションを入れたいと伝えても拒否されます。完成後に、購入した住戸とその専用使用できる共用部を対象としてインスペクションを行うことになるのです。

用意すべき必要書類・図面

内覧会に行くときには、購入した住戸の間取り図が必要です。建物全体の図面は必要ありません。間取り図があれば、その室内はもちろんですが、専用使用できるバルコニーや玄関ポーチも記載されているでしょう。

第三者のプロに同行依頼するときも同じで、この間取り図を用意すれば問題ありません。基本的には事前送付を依頼されるはずですので、メールなどで送信するとよいでしょう。

ちなみに、多くのマンション内覧会では、当日、現地に行くと指摘事項を書き込む用に間取図付きチェックシートが用意されています。建築会社の担当者に指摘事項を伝達するときは、これに記載して提出することが多いです。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

まとめ:安心できるマンション購入のために、診断という選択肢を

ここまで読んでみていかがでしょうか。

マンション内覧会のことが理解できたことでしょう。誰にでも必要とは言えないこと、プロに依頼してホームインスペクションを実行してもらっても、確認できる範囲が限られていることは、依頼する前に買主が知っておくべきことだと言えます。

一方で、同行することについて、売主側へ遠慮する必要がなく、それほど嫌がられることが無いことも理解できたでしょう。

依頼するかどうか、慎重に考えつつも、依頼する場合は早めに申し込みするようにしましょう。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。