築12年の中古住宅のホームインスペクション(住宅診断)の事例 No10

ホームインスペクション(住宅診断)で調査する項目や指摘事例などをご紹介するホームインスペクション・レポートで、今回が10回目の事例です。10回目の事例となる対象物件は、木造壁式工法の住宅で築年数は12年です。

築10年を超えた住宅では、建物によって劣化の進行具合に差が出てきています。築10年のわりに建物の状態がよく劣化があまり進行していない住宅と、10年とは思えないほど劣化が進行してしまっている住宅とがあります。

第三者のホームインスペクションとしては、この築年数の住宅に関して築年数相当の建物の状態であれば、悪い印象は抱きませんし、また購入後に適切なメンテナンス(補修工事など)をしていけば、長く良い状態で使用できると考えてよいでしょう。今回の住宅がどういった結果になるかを見ていきましょう。

 

< 床下点検口からのインスペクション >

ホームインスペクションでみる項目は多数ありますが、そのなかでも床下の確認は非常に大事なものです。基礎や土台などの構造部分を確認することもできますし、給排水管や断熱材なども確認できるスペースですから、ぜひ診ておきたいものです。

床下点検口

床下の確認は、一般的には上の写真のような床下点検口から行います。点検口はキッチンなどにある床下収納庫が兼ねていることが非常に多いですが、収納庫の蓋を開けてから収納ボックスを取り外せば床下を点検することができます。

床下のインスペクションは大事なものですから、依頼前に床下を点検できるものか確認しておくことをお勧め致します。

床下のホームインスペクションは、基本サービスのみご利用であれば、点検口からのぞいて確認できる範囲が対象となりますが、床下へ進入して調査するオプションをご利用頂ければ、検査員が潜って安全に無理なく移動できる範囲を調査しております。

もちろん、大事な床下ですから、実施可能な住宅であるならばオプションのご利用をお勧めしております。今回のご依頼では、床下のインスペクションもご希望でしたので、実際に潜って調査しております。その結果、大きな問題となる指摘事項はなかったのですが、床下が以下のような状態になっていました。

床下のごみ

今回の住宅では点検口の近くで確認されましたが、建物によっては奥まで進入することでごみや工事の残材が確認されることがよくあります。ごみの種類によっては、シロアリの温床となりうることもあるため、発見されれば早期に取り除いておく必要があります。

床下のごみは、新築工事やリフォーム工事の際に工事業者が見えないところだからと放置していくことがあります。工事完了後に確認すればすぐにわかるものですから、あえて放置していることも多いでしょう。

< 排水テスト >

ホームインスペクションも調査項目の1つに給排水管があります。給排水管と言っても、床下で配管の固定状況を見たり、勾配に異常がないか確認したりといくつか確認するものですが、排水テストという作業もあります。

実際に、キッチンやトイレ、浴室、洗面台などで水道を流して、水に錆が混ざっていないか、流水及び排水速度が明らかに異常でないか、そして配管からの漏水がないかを確認します。以下の写真はシンク下部の排水管の様子ですが、ここからも漏水していないか確認します。

排水管(シンク)

床下のインスペクション(オプション)を利用されている場合には、床下の配管経路からも漏水がないか進入可能な範囲で確認を行います。配管の勾配も床下でチェックしています。以下が床下で確認した排水管で、固定状況や勾配を実際に測定して確認しています。

排水管(床下)

ただ、排水テストですから、調査当日に水道が使用できないと確認できません。ホームインスペクションを依頼する前に、水道を使用できるものか確認しておきましょう。売主が居住中の中古住宅であれば、水道を使用する了解をえて頂ければ問題ありませんが、空き家の場合は閉栓していることもあります。

インスペクションの前に水道を使用できる状況にして頂けないこともあり、その場合は残念ながら調査対象外の項目となります。

今回は様々な項目を調査したなかで、一部ではありますが、床下点検口からの調査と排水テストについて説明しましたが、実際には外観から室内や屋根裏に至るまで広範囲に様々な項目を調査しています。その結果として、今回の対象物件は築年数相当の建物の状態であると調査結果が出ています。

詳細は述べておりませんが、結露が多く発生している住宅であったため、結露対策のアドバイスをして調査を終了しております。

 
 
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