床下の漏水・水溜りの原因(雨水・結露・その他)とカビ・腐食の心配

床下の漏水・水溜りの原因(雨水・結露・その他)とカビ・腐食の心配

ホームインスペクションをしておりますと、住宅の床下における漏水関連の相談を受けることが度々あります。新築住宅を購入して入居してからすぐに異変に気付いて相談を受けることもあれば、長く住み続けていた家でいつの間にか水が溜まっていたというケースもあります。

床下浸水の症状もいろいろある

床下で見つかる漏水、浸水にもいろいろな症状があります。床下の一部のみに水溜まりが出来ているというケースや床下全面に水が溜まっているケースなどです。

一部のみに水たまりがあるケースでは、床下点検口から目視できる位置でない限り簡単には発見できません。普段、床下点検口を開ける人もほとんどいませんが、開けて点検したとしても見えない位置のことまではわからないからです。

一方で床下全面に水が溜まっているケースは、床下点検口をあけて見る機会があれば気づくことでしょう。深さ4~5cmも溜まっていたケースもありました。床下の水が多い場合、室内側でも異常な湿気を感じることなどをきっかけで、この問題に気づくことがあります。

カビ・腐食が心配

床下で漏水・浸水が見つかったとき、その原因を確認して対処する必要があるのは当然のことですが、原因追究するだけではなく、関連する症状の有無を確認することも怠ってはいけません。

濡れた木部の腐食や金物などの錆、そして様々な箇所のカビが心配されます。床下へ潜って、これらの症状が出ていないかどうかきちんと調査することが非常に大事です。

床下の漏水・水溜りの原因

床下で見つかる水溜りなどについて、その原因として考えられるものをあげておきます。水たまりや水染みが見つかったならば、これらの可能性について検証するとよいでしょう。

  1. 配管からの漏水(給水管・給湯管・排水管)
  2. 雨漏り(雨水の侵入)
  3. 結露
  4. 湧き水・地下水

この4つのいずれかが原因で床下の水溜りや水染みが生じています。実は、この4点以外にも新築工事の途中で濡れた染みが残っていることもありますが、それについてはここでは除外しておきます。床下で染みだけではなく、水が見つかったならばやはり上の4点を疑うべきでしょう。

配管からの漏水(給水管・給湯管・排水管)

最も多い原因は配管からの漏水です。住宅内で水道を使用すれば、配管内を水が流れていきます。その途中で何か問題があれば、漏水することがあるのです。配管と言っても、給水管・給湯管・排水管と用途の違いがありますね。どの配管からの漏水であるか検証しなければなりません。

床下配管

水の量が多いときには、その水質に注目することでどの配管からの漏水であるかわかることがあります。泡立つような水ならば、排水の可能性が高いですし、綺麗な水なら給水管か給湯管を疑うべきです。

但し、新築直後の建物で居住する前に見つかった場合、排水管を流れる水も綺麗ですから誤解しないようにしましょう。

雨漏り(雨水の侵入)

床下なのに雨漏りがあるのかと驚く人もいますが、実は意外と起こりうる問題です。雨水が床下へ侵入するルートとしては、以下のものが挙げられます。

  • 外壁内部へ侵入した雨水が壁内部を通って床下へ流れる
  • 基礎の天端から雨水が吹き込む
  • 基礎の打ち継ぎ部分から雨水が侵入する
  • 換気口から浸水する

外壁内部から浸水するケースでは、外壁内の腐食・カビまで確認した方がよい場合もあり、対処が少々大変なこともあります。

基礎の天端(基礎の一番上の部分)から雨水が吹き込むのは、水切り金物の取付けが悪かったり、基礎パッキンの設置状態に問題が有ったりする場合です。ただ、これが浸水ルートとなっている住宅はあまり見たことがありません。

基礎の打ち継ぎ部分からの浸水と言ってもわかりづらいですね。多くの住宅では、基礎コンクリートは底盤(底の水平方向の部分)と立ち上がり(縦方向の部分)の2度にわけて打設されています。目で見ただけでは、底盤と立ち上がりに隙間があるようには見えないものの、水が入るだけの隙間が生じていることがあるのです。

この打ち継ぎ部分は、一般的には地中です。建物の周囲に雨水が溜まっている状況であれば、その個所の地中にある打ち継ぎ部分から浸水していくことがあります。雨水が敷地外へスムーズに排水されるようになっていない住宅では注意した方がよいです。

また、基礎に設けられた換気口から浸水することもあります。換気口の設置位置が低すぎると、基礎周りの土間コンクリートで跳ねた雨が床下へ入ってしまうことがあるのです。豪雨の時に起こりうる問題です。

基礎の換気口

換気口の位置が写真のように低い位置にあると要注意です。過去には、長方形の換気口の下面が土間コンクリートの上面と同じ位置(高さ)という事例もありました。雨水を意図的に床下へ流したいのかと思うような施工で驚いたものです。

結露

床下では、本来ならばあまり結露が起こることはありません。きちんと換気さえとれておれば、それほど結露が生じるようなスペースではないのです。

今までによく見られた床下スペースにおける結露の発生原因は、基礎断熱にしている住宅で換気をきちんと取っていない住宅です。

多くの住宅では床下で断熱しています。1階床の裏側(下側)に断熱材を設置する工法なので、断熱という点では床下は建物外部と同じ状況です。このケースで結露が生じることは稀です。基礎上に設置された基礎パッキンのところから換気できるようになっていますし、古い住宅であれば基礎に換気口を設置しています。

もう1つの断熱の工法として基礎断熱があります。これは、外部に接する基礎部分で断熱するので、断熱的には床下は建物内部と同じです。この場合、床下の空気を入れ替えることができるようにしていないと結露してしまうのです。

例えば、1階の床の一部に通気口を設けて床下と室内の空気を循環させるなどの対処が必要なのですが、そういった対処が出来ていないことがあるのです。

湧き水・地下水

床下の水の発生原因として、実は地中からの湧き水ということがあります。地下水が住宅の下から出てきているのですが、なかなか厄介な問題です。

基礎工法が布基礎である場合で地下水が出てくると防ぐことが難しいです。

これは地域性もあることで、東京でもよくある問題です。

床下を確認してみよう

床下の水溜り、漏水について原因として考えられることをあげてみました。原因がわからないと対策を取りづらいですから、この問題に遭遇した時は原因追究をしっかりやっておきましょう。

床下の漏水問題は、カビや腐食などにつながり、建物の寿命を縮めてしまうことにありますから、床下を点検していない人は、早めに確認した方がよいでしょう。点検したことがある人も、数年に1度は見ておいたほうがよいでしょう。新たな漏水・浸水が起こることもあるからです。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。