既存住宅瑕疵保険

中古住宅の売買が今後は大きく拡大すると予想されているが、中古住宅市場では新築に比べて保険制度の整備が遅れていると言われてきた。中古住宅の売買(取引)を増やしていくためにも必要であると言われていた瑕疵保険が始まり、徐々に普及し始めている。

中古住宅は既存住宅と言い換えられ、既存住宅瑕疵(かし)保険と呼ばれる。検査と保証が一体になった保険であり、不動産会社や検査会社が保証者となり、保険法人がその保険を引き受ける仕組みである。

中古住宅の場合、新築と異なって売主の多くは一般個人であるため、個人の売主に保証を課すことは困難である。そこで、その住宅を検査した検査会社が保証者となることで成り立たせているシステムである。不動産会社が買い取って再販しているような中古住宅の場合には、その不動産会社が保証者となる。

いずれにしても、検査が実施されるわけであるが、保険法人が定めている基準に適合しているかどうかを判定する検査内容となっている。また、保証対象は構造耐力上主要な部分(基礎、柱、屋根、床、小屋組、土台、筋交いなど)と雨水の浸入を防止する部分(雨漏り)となっているが(給排水管のオプションを選択できる)、検査も原則としてこの保証対象範囲となるため、保証対象外の項目の著しい劣化や不具合が問題となりうる。

そこで、ホームインスペクション(住宅診断)サービスを提供する会社のホームインスペクションと瑕疵保険の検査をセットで利用するケースも増えており、これからの中古住宅売買における重要な選択肢となるだろう。

中古住宅の瑕疵保険(かし保険)には他にもメリットがある。築20年を超える木造住宅を購入して住宅ローン減税(住宅ローンを借りることによって受けられる税金の控除)を受けたい場合に、この瑕疵保険に加入すれば減税の対象となるのである。他にも耐震基準適合証明書を取得する方法もあるが、瑕疵保険に加入すれば減税だけではなく保証も受けられるメリットもある(その他のメリットもある)。

ちなみに、この保険は、住宅あんしん保証・住宅保証機構・日本住宅保証検査機構・ハウスジーメン・ハウスプラス住宅保証といった保険法人が取り扱っているが、保証する検査会社が必要であるため、利用するときには以下のものに聞いてみる必要がある。

売主が不動産業者の場合は不動産業者に
売主が不動産業者以外の場合は検査会社に

なお、任意の制度であるため必ずしも利用しなければならないわけではないが、検討する価値はあるだろう。