新築一戸建ての内覧会立会い・同行(完成検査)の事例 No11

ホームインスペクションを利用して頂く場合、契約前のご利用をお勧めしておりますが、新築住宅の契約後・引渡し前のタイミングで利用される人も多いです。この引渡し前のタイミングで行うホームインスペクションのことを完成検査や施主検査などということもありますが、アネストのサービスでは、内覧会立会い・同行サービスと呼んでいます。

新築一戸建ての内覧会立会い・同行(完成検査)の事例 No11

内覧会立会い・同行サービスとは

内覧会立会い・同行サービスとは、契約した住宅の施工品質をチェックするものであり、引渡し前に行う大事なイベントでもあります。引渡の前に補修すべき事項を売主や建築会社へ指摘し、その補修後の確認も引渡し前に行うようにしてください。

今回の対象物件は、木造2階建て住宅で壁組工法でした。このインスペクション事例のなかから、いくつかのチェックポイントをご紹介します。

外装・内装の仕上げ工事の品質がよい

調査の多くは建物外部から始まりますが(内部から始めてもよい)、基礎・外壁の施工品質は良く、補修を求める項目はありません。屋根はバルコニーから目視確認できる範囲に限られますが、施工品質が良いものでした。

また、建物内部の内装仕上げの施工品質も良く(細かな傷・汚れは対象外)、現場の丁寧な仕事ぶりが伝わってくる住宅でした。仕上げ工事の品質で見た目の印象がかわってきますから、雑な工事でなくよかったです。

もちろん、床や壁の傾き測定なども行っており、異常がなく心安心できるものでした。

畳下地材のカビ

施工品質や建物の工事中の管理状態などは内装や外装材のすぐに目が付く箇所だけで判断できるものではありません。普段見えない部分にこそ問題があることが多いものです。

畳下地材のカビ

上の写真は和室の畳をあげたところで、下地材(合板)が見えていますが、残念ながらカビが発生しています。

新築住宅なのにカビが生えているのかと驚く人もいるかもしれませんが、実はこの指摘はなかなか多いですから、全ての住宅において畳の下地材の状況を確認しておくべきでしょう。

引渡し前の完成検査(内覧会)の際に畳をあげて下地材の状況を確認している買主がどれだけいるかわかりませんが、専門家のホームインスペクションでは実施できる状況であるならば、確認を行っています。

カビがいつ生えてきたのかわかりませんが、内覧会の時点でこれだけ繁殖しているのであれば、完成後に建築会社が畳下地の確認を行っていないことが明白です。一般的に、建築会社で完成検査を行ってから買主に内覧してもらうものですが、畳下地の確認だけではなく、建築会社による完成検査そのものを怠っていた可能性もあります。

内装や外装など、目に見えるところだけではなく、見えない箇所の確認が大事であるとわかる事例でした。

浴室の天井点検口からチェック

見えないところの確認といえば、浴室の天井点検口の内部のチェックがあげられます。ほとんどの新築住宅がユニットバスになっていますが、ユニットの場合は天井に点検口が付いているはずで、点検口の蓋を手で軽く押せばずれて天井裏を簡単にチェックできるようになっています。

この確認の際は3段程度の脚立があれば便利です。

浴室の天井点検口から調査

この写真は天井点検口から内部を映したもので、銀色のパイプらしきものが換気用のダクトです。ダクトの取り付け状況や壁を貫通する部分の隙間、石膏ボードの施工有無や施工品質、そして配線などを確認できます。

ここでは必要な石膏ボードの施工がなされていないことが多く指摘にあがるのですが、この住宅では施工されておりました。

床下点検口からのチェック

次に床下点検口からのチェックについてご紹介します。床下はキッチンなどに設置されている床下点検口から確認します。床下や屋根裏はホームインスペクションのなかでも大変重要な調査スペースです。

床下のインスペクション

床下で確認できる項目は多数あり、それら項目のいずれもが大事なものです。今回はその一部をご紹介します。

写真のなかに青い管と赤い管が見えますね。これは給水と給湯で、このカラーが新築住宅の多くで見られます。途中ではずれていたり穴があいていたりすると漏水しますから重要なのですが、経路の全てで穴が無いか確認する作業は現実的ではありません。

そこで、一般的には蛇口等で水道を使用して漏水していないか確認します。このとき、水道を使用すれば排水もそれますから一緒に排水管からの漏水有無もチェックします。グレーの宙に浮いた配管が排水管です。

但し、微小な漏水である場合、水道使用直後ではなく、しばらく時間が経過してから漏ってくることもありますから、内覧会当日だけではなく、その他の補修後の確認時や入居時にも床下をのぞいてみるとよりよいでしょう。

この住宅では漏水もなく、基礎コンクリートの状態などもよかったのですが、断熱材の落下防止用の不織布が何箇所か破れていました。インスペクションの時点ではまだ断熱材が落下していませんでしたが、今後、早期に落下してしまう可能性があるため、指摘事項として補修対応をお願いしました。

断熱材の落下は住宅の断熱性の低下に直結し、エネルギー効率の悪化や住環境の悪化(冬は寒く、夏は暑い)につながりますので、注意したいところです。

もちろん、この後、屋根裏の調査などもあるのですが、今回の事例ではここまでにしておきます。

 

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