内覧会の基礎知識とチェックリスト・注意点を完全解説

内覧会の基礎知識とチェックリスト・注意点

新築の建売住宅を購入したときや、注文建築の家を建てたとき、その住宅の完成後、引き渡し前のタイミングにおいて、内覧会というものが実施されることが非常に多いです(名称が異なることがあることを後述しています)。

内覧会に関する基礎知識がなく、何も準備していない買主や施主から、内覧会の直前になって、「内覧会というものを始めて知ったが、何をすればよいかわからず不安だ」「不動産会社から内覧会のことを直前まで聞いていなかったので、準備できなかった」という声を聞くことが少なくありません。

今回の記事では、内覧会のことを詳しく知らない買主や施主向けに、内覧会の基礎的な知識を説明した上で、買主側が現地で確認すべきチェックポイントをリスト形式で紹介します。また、内覧会の際に役立つ第三者の専門家によるホームインスペクションのことや、その調査で見つかった施工不良の事例、買主が持参すべきものを紹介し、最後に買主が内覧会について注意すべき点を解説します。

Contents

内覧会とは?基本を理解しよう!

住宅、特に新築住宅の売買や建築に際して、取引の最終段階に行われている内覧会ですが、その基本的な意味や基礎知識を理解しておくため、ここで内覧会の基本的なことを説明します。

建物完成状態
建物完成状態

内覧会は建物の完成状態を確認する機会

住宅における内覧会とは、建物の完成状態において、施工ミスや発注内容との相違が無いか確認する機会です。引渡し前のタイミングにおいて現地で建物を確認し、施工ミスなどがあれば、建築会社や売主に対して指摘事項を伝えて補修などの対応を依頼する大事なものです。

ただし、常に完成状態を確認する機会にだけ内覧会という言葉を使うとは限らず、建築途中の状態を施主が確認するときも内覧会と呼んでいる建築会社があります。よって、基本的には完成状態を確認する機会ですが、別のタイミングで用いられることもあると理解しておきましょう。

竣工検査や施主検査もほぼ同じ意味で使われる言葉

完成状態を確認する機会という意味においては、竣工検査や施主検査も同じ意味を持っています。また、完成検査と呼ばれていることも少なくありません。

ただし、内覧会は、一般消費者(建売住宅なら買主、注文住宅なら施主)に向けて使われる言葉であるのに対して、竣工検査や施主検査は一般消費者向けとは限らず、工事の発注者の全てが対象となりえます。

たとえば、不動産会社が建築会社に住宅の建設を委託し、それを一般消費者に販売するケースでは、不動産会社が一般消費者に対して売主となりますが、建築会社に対しては工事の発注者となります。この場合、不動産会社は建物の完成時点で施主検査を行うことになります。

さらに、その後、買主向けに内覧会を行うという流れです。

確認会と呼ばれていることもある

内覧会は、竣工検査や施主検査以外に、確認会と呼ばれていることもあります。施工ミスなどを確認する機会ですから、確認会とストレートに表現しているようです。

いろいろな言葉を概ね同じ意味で用いていることがあるので、複雑に感じるかもしれませんが、住宅の買主や施主としては、何をする機会であるかをしっかり把握して対応すれば問題ないでしょう。

再内覧会は補修後の再検査のこと

内覧会とは少し異なるものに、再内覧会という機会があります。

再内覧会は、内覧会で指摘した施工不良などの問題について、建築会社が補修完了した後に、その補修状況を確認する機会です。補修結果が適切なものか確認するわけですから、これも大事なものです。

この再内覧会は、建築会社によっては、「手直し検査」や「補修後の確認会」、「再チェック」などと呼んでいることもありますし、特に名付けていないことも多いですが、買主や施主としては、補修完了後の状況を確認する機会があるはずだと理解しておきましょう。

内覧会の対象物件

住宅において内覧会が行われる対象物件には、以下のものがあります。

  • 新築一戸建て(建売住宅)
  • 新築一戸建て(注文住宅)
  • 新築分譲マンション
  • 新築共同住宅(アパート等)一棟
  • リノベーション工事(一戸建て・マンション・アパート)

内覧会の対象となるのは、一般的には新築した建物というイメージが強いですが、実は、リノベーションのような大規模リフォームをしたときにも、行うことはあります。ただし、このときは内覧会という言葉はあまり使わずに竣工検査や施主検査ということの方が多いです。

内覧会の前後の流れ

内覧会を行う前後の流れを「着工前または建築途中の未完成物件」と「完成物件」の2つにわけて説明します。

着工前または建築途中の未完成物件を契約した場合

  1. 売買契約 または 工事請負契約
  2. 着工(工事開始)
  3. 建物が完成
  4. 完了検査(建築確認検査機関等が行う)
  5. 内覧会(施工不良などを現地でチェック)
  6. 補修工事などの対応(建築会社が行う)
  7. 補修後の再検査
  8. 残代金の支払いおよび引き渡し
  9. 入居(引越し)

建築途中の建売住宅を購入した場合、「2.着工(工事開始)」は売買契約の時点で終了していることになるため、対象外です。

「4.完了検査(建築確認検査機関等が行う)」は建築基準法に基づいて実施される建物完成後の手続きで、現場で民間の建築確認検査機関などが事前に申請したとおりの建物となっているか、簡単に確認するものですが、施工ミスの有無を細かくチェックしてくれるわけではないので、内覧会の際に自分でしっかりチェックしましょう。

完成物件を購入した場合

  1. 売買契約
  2. 完了検査(建築確認検査機関等が行う)
  3. 内覧会(施工不良などを現地でチェック)
  4. 補修工事などの対応(建築会社が行う)
  5. 補修後の再検査
  6. 残代金の支払いおよび引き渡し
  7. 入居(引越し)

「2.完了検査(建築確認検査機関等が行う)」は、前述の「着工前または建築途中の未完成物件を契約した場合」の中で説明したとおりですが、完成物件を購入した場合では、売買契約時点で既に終えていることも少なくありません。

内覧会の重要性

ここまでの説明で内覧会とはどういうものであるか、イメージできたのではないでしょうか。しかし、その重要性や専門家を同行する必要性がわからないと言う人も少なくないでしょう。

内覧会の重要性は、補修すべき点を堂々と売主や建築会社に指摘できる引き渡し前の最後の機会です。引渡し後でも指摘することはできても対応が悪化する業者いることから、重要な機会であることを理解しておきましょう。

また、専門家の同行により、この重要な機会をより有意義に活用することができるので、同行する必要性が高いとも言えます。専門家を同行するメリットや料金などは後述しています。

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完成お披露目会の内覧会もある

ここまで、竣工検査としての内覧会について説明してきましたが、実は、完成お披露目会として行う内覧会もあります。

完成した建物をその住宅の施主ではなく、これからマイホームの新築を検討している人向けに公開して、販売促進に活用するというものです。つまり、モデルハウスの代わりにしているということです。

建築したハウスメーカーや設計した建築士(設計者)が施主の承諾を得て行っています。

ちょっと一言

内覧会には、竣工検査と完成お披露目会という複数の意味があるということですね。この記事では、竣工検査としての内覧会について記載しています。

内覧会のチェックリスト

内覧会のチェックリスト

引き渡し前の内覧会で買主(注文建築なら施主)が現地で確認すべきポイントをチェックリスト形式で、対象範囲を屋外・屋内・床下・小屋裏(屋根裏)に分けて紹介します。

屋外

屋外は、建物の外壁・基礎・軒・屋根と外構部分です。具体的なチェックポイントは以下のとおりです。

屋外

基礎

ひび割れ、仕上げ材のはく離・欠損、カビ・変色、ジャンカ、鉄筋の露出、白華現象、基礎パッキン及び水切りの状態

外壁

ひび割れ、仕上げ材のはく離・欠損・割れ・劣化・浮き・腐食・カビ・錆、シーリング材の破断、設備器具の固定箇所及びスリーブ周囲の防水状況

屋根

著しい割れ・欠損・ずれ、腐食、色褪せ、破風・鼻隠しの塗装落ち、水切り等金属部の錆・腐食

軒裏

ひび割れ・欠損、漏水跡、浮き、剥がれ、腐食、軒裏換気口の状態

雨樋

破損、ひび割れ、掴み金物のぐらつき、つまり

バルコニーおよびフラットルーフ

床の沈み・欠損・腐食・勾配、防水層の破断、排水溝の勾配、排水口のつまり、手すりのぐらつき、支持部の欠損、支持部の割れ、支持部の腐食、立ち上がり壁(内側)の欠損、立ち上がり壁(内側)の割れ、物干し金物の取り付け状態、物干し金物の動作

外構

ブロック塀・フェンス等の状態、アプローチの不良、玄関・車庫の門扉等の不良、雨水・雑排水・汚水桝の設置状況、門柱等の設置物の著しい劣化・異常、犬走り・テラス・地面の勾配・著しい陥没、排水溝のつまり・勾配

玄関ポーチ

床の仕上げ、タイルの著しい浮き・欠損、壁・天井の仕上げ、照明の点灯

その他

新聞受けの取り付け、インターホンの動作、隣地境界の明確性、道路境界の明確性、屋根・雨樋等の構築物の越境、植栽(草木・植木等)の明らかな越境、屋外シンクの使用可否・設置状況・赤水

屋内

屋内とは、各居室・リビング・トイレ・浴室・洗面室・廊下・階段・収納などです。

屋内

床鳴り・床の沈み、凹みや浮き、著しい隙間やキズ、傾き

巾木

壁および床仕上げ材との隙間・欠損

仕上げ材の割れ・はがれ・めくれ、著しい隙間やキズ、下地不良、傾き、漏水跡

天井

仕上げ材の割れ・はがれ・めくれ、著しい隙間やキズ、漏水跡

扉の動作、扉と枠の隙間、丁番の緩み等の取り付け、ドア下部の見切りとフローリングの隙間

サッシ

サッシの動作(がたつき・開閉時の音・重さ)、網戸の動作(がたつき・開閉時の音・重さ)、鍵の施錠、ビスの締め付け、ガラスの割れ・傷、シャッター又は雨戸の取り付け、シャッター又は雨戸の動作

収納

扉の動作、棚板のがたつき

水周り設備・電気

各水栓・トイレの排水テスト、換気扇の動作テスト、ダウンライトの点灯確認、

その他

カーテンレール・エアコンスリーブ・給気口・スイッチ・コンセント・リモコン・カウンター・タオル掛け・手すり・ペーパーホルダーの取り付け

床下

床下は、基本的には1階の床下です。床下内部へ買主が自ら進入するのは危険なので、点検口から目視できる範囲で確認することが現実的に可能な範囲です。

床下

基礎

ひび割れ、仕上げ材のはく離・欠損、カビ・変色、ジャンカ、鉄筋の露出、白華現象、基礎パッキン及び水切りの状態

土台・床組み

ひび割れ、腐朽・腐食、土台と床組みの接合部の浮き、シミ、水濡れ、束の固定状況・錆、金物の設置位置と固定状況、金物等の錆、鉄骨の錆(鉄骨造の場合)、カビ

その他

断熱材の設置状況、給排水管の固定状況・損傷、給排水管のからの漏水、漏水跡、異常な湿気、防腐・防蟻処理の有無、著しい地盤の陥没、地面、土間のひび割れ、ユニットバス周りの基礎断熱の有無、工事残存物、ゴミの有無

小屋裏(屋根裏)

小屋裏は、最上階の天井裏です。ただし、下屋があり、その内部を確認できる場合は同様のチェックリストで対応してください。小屋裏内部へ買主が自ら進入するのは危険なので、点検口から目視できる範囲で確認することが現実的に可能な範囲です。

小屋裏(屋根裏)

小屋組み

木部のひび割れ・欠損・剥がれ、鉄骨材の劣化・腐朽・腐食・錆、金物の設置位置と固定状況、金物の錆、蟻害、蟻道、壁内の筋交いの有無、壁内の筋交い上端分の金物の設置状況、火打ち梁の有無

その他

配線の整理・固定・被覆状況、断熱材の設置状況、漏水跡(シミ)、異常な湿気、カビ、外壁内の断熱材の有無、外壁の内張りの有無

内覧会で役立つ専門家の同行サービス(ホームインスペクション)の基礎知識

専門家の内覧会同行
専門家の内覧会同行

完成後・引き渡し前に実施される内覧会を買主が自分たちだけで行うことも多い一方で、第三者の専門家に立会い依頼して代わりにチェックしてもらう人も多いです。その専門家の同行サービスについて説明します。

第三者の専門家の同行 = ホームインスペクション

内覧会に第三者の専門家が同行して建物のチェックをするサービスのことをホームインスペクションと呼びます。住宅検査や住宅診断とも呼ばれています。

そして、インスペクションを行う専門家のことをホームインスペクターとも言います。このホームインスペクターは、建築士であることが多いですが、一部では建築士の資格を持っていない人もおり、その知識の裏付けがなくて心配されることもあります。よって、依頼するときは建築士の資格を持っている人を選ぶようにしましょう。

なぜ、専門家に立会い依頼する人が多いのか?

新築の内覧会では、一戸建てでもマンションでも第三者の専門家に立会い依頼して、買主に代わってホームインスペクションしてもらう人が多いです。特に一戸建てでは、非常に多くの人が依頼しています。

その理由は、以下のとおりです。

  • 建築の専門知識が不足するため
  • 大きな買い物なので専門家の力を利用したい人が多い
  • 実際に施工ミスの被害あっている人が少なくないため
  • 売主や建築会社の説明が信用できないため

人によっては、他にも様々な理由がありますが、多くの場合は上の理由が依頼する要因になっています。

専門家にホームインスペクションを依頼するメリット

専門家にホームインスペクションを依頼することによるメリットとしては、以下のことが挙げられます。

  • 専門知識・経験・ノウハウを味方にできる
  • 建築会社に誤魔化されない
  • 床下や小屋裏も調査してもらえる
  • 第三者の専門家の調査記録が残る
  • 施工ミスがあれば、指摘してもらえる(教えてもらえる)
  • 安心感を得られる

やはり、最終的に安心を得られるということが最も大きいですね。たとえ施工ミスが見つかったとしても、指摘して補修対応してもらえれば、安心することができますね。

内覧会立会い・同行サービスの料金

内覧会立会い・同行サービスは、ホームインスペクションとも呼ばれる建築士などのホームインスペクターが行う専門的サービスですが、その料金は、建物の条件や利用するサービスの範囲によって差異が大きいです。以下が、凡その料金の範囲です。

基本サービス5~8万円
床下・小屋裏を含む8~14万円

事前に売主・建築会社に同行依頼したことを伝える

専門家による内覧会立会い・同行サービスは、床下や小屋裏の調査まで依頼すると、3~4時間くらいの時間がかかります(建物の延床面積が100平米の場合)。よって、専門家に同行依頼したことと、この所要時間を先に売主側へ伝えておかないと、売主側がそれだけのスケジュールをあけていないことがあります。

また、何も言わずに専門家を同行すると期限を損ねる建築業界の人もいます。

そういった状況から、事前に売主や建築会社には、ホームインスペクションを申し込みして、専門家を同行することを伝えておくようにしてください。もし、この時に拒否するような人がいたら、施工品質に自信がないかか、既に何らかの問題があることに気付いている可能性もありますので、注意しましょう。

原則、床下や小屋裏まで調査依頼する

一戸建ての床下
一戸建ての床下

床下や小屋裏の調査まで、専門家に依頼すると費用が高くなりますので、躊躇する人もいます。しかし、床下では基礎や土台などの床組みといった大事な部位を調査することができますし、小屋裏でも柱などの構造部分を調査することができます。また、床下・小屋裏ともに断熱材の施工不具合が見つかることも多いです。

よって、できる限り、床下や小屋裏の調査まで依頼することをお勧めいします。ただし、建物の設計プランによっては、床下や小屋裏へホームインスペクターが進入できない物件もあるので、そのときはやむを得ないでしょう。

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内覧会で見つかった施工不良の事例紹介

専門家が内覧会に同行して、ホームインスペクションを行うと、いろいろな指摘事項が見つかることがあります。同じ住宅でいくつも建物構造や性能に大きなマイナス影響をもたらすような施工ミスが見つかることもあり、そのひどい施工状態に依頼者である買主がショックを受けることもあります。

そうは言っても、実際にどのような施工ミスが見つかることがあるか、慣れない人には想像しづらいものですから、ここではその事例を写真付きで紹介します。

基礎の貫通部の隙間

基礎の配管貫通部の隙間

屋外の基礎部分で、基礎を貫通する配管周りに著しい隙間がありました。この隙間から床下へ雨水が浸水するため、補修が必要です。

基礎のひび割れ

基礎のひび割れ

床下の基礎部分で、構造強度に影響があるレベルのひび割れ(構造クラック)が多数見つかりました。

土台水切りの取付不良

土台水切り金物の取付不良

基礎コンクリートの上付近にある土台水切り金物の取付状態ですが、隙間がある状況です。

雨樋金物の取付不良

雨樋金物の取付不良

外壁面にある雨樋の固定金物の取付状態に問題があり、新築時点でぐらついている状況です。

配管貫通部の防水処理

外壁の配管貫通部の防水処理

外壁を配管が貫通している部分で、配管周りの防水処理を施工し忘れている状況です。

床下の断熱材

床下の断熱材の施工漏れ

床下に進入調査をしたところ、一部の範囲で断熱材を施工し忘れている状況です。

断熱材の施工不良

小屋裏の断熱材の施工不良

小屋裏(屋根裏)に進入調査をしたところ、一部の断熱材が乱雑に施工されて、大きな隙間が生じている状況です。

構造金物の緩み

小屋裏の構造金物の緩み

小屋裏(屋根裏)に進入調査をしたところ、複数の構造金物が緩んでいる状況です。

床下の漏水

床下の漏水

床下で漏水が発生している状況です。

意外と新築時点で漏水しているケースが何度も見つかっており、基礎の施工や給排水管の施工など様々な理由で生じることがあります。

以上の施工不良の事例を見てどう感じたでしょうか。

見つかる事象によっては、本当に最悪の内覧会になってしまったと残念に感じる人もいますが、引き渡し前にその補修を請求しないともっと問題が大きくなりますね。

内覧会で買主が持参すべき物

脚立
脚立があると便利

内覧会は、施工不良や契約したとおりに完成しているか確認する機会だと前述したとおりです。買主が、これを適切に行うためには、必要なものを準備して持参する必要がありますね。それを以下で紹介します。

  • メジャー
  • スリッパ
  • デジタルカメラ(またはスマホのカメラ機能)
  • 脚立
  • メモ帳・筆記用具
  • 間取図
  • チェックリスト
  • マスキングテープ・付箋

以上のものを用意しておくと便利です。

メジャーは、注文通りのサイズであるか不信感をもつ箇所があれば、採寸することができます。また、内覧会の際に家具・カーテンの設置箇所を採寸したい場合にも使えます。

冬場はフローリング冷たくて寒いことがあるので、スリッパがあると助かります。不動産会社が用意してくれていることもありますが、自分で用意しておくと確実ですね。

デジタルカメラまたはスマホ(カメラ機能)は、指摘事項を覚えておくために撮影することができます。補修後の再確認時に、補修前の写真と見比べて補修状況を確認することもできます。

小屋裏点検口の内部を覗くときに脚立が必要となることが多いです。最低でも3段以上の脚立を持参したいですが、点検口の位置などによっては3段くらいでは確認できないこともあります。事前に不動産会社にお願いすると用意しておいてくれることもあるので、相談するとよいでしょう。

メモ帳・筆記用具・間取図は、施工不良などを指摘した箇所を記録するためです。間取り図に該当箇所をマーキングしておくと後でわかりやすいですね。

どこをチェックすべきかわからないということを考慮して、チェックリストを記載したチェックシートを用意しておくと便利です。

施工不良などを見つけた場合、手元の間取り図にメモをとるだけではなく、現場で目印を付けておくと建築会社にとっても買主(または施主)にとってもわかりやすいですね。そのために、マスキングテープか付箋を用意しておくとよいでしょう。

建築会社が用意してくれていることもありますが、何も用意されていないこともあるので、自分で用意しておくことをお勧めします。

また、持参物とは異なりますが、内覧会には一人だけで参加せず、2人以上で参加することをお勧めします。一人ではその場の状況にのまれてしまって、全然確認できないこともありますし、複数人の目で見る方が見落としも減るからです。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

買主や施主が注意すべき点

最後に、住宅の買主や施主が、内覧会に際して注意すべき点を紹介します。注意点には、内覧会当日のことだけではなく、その前後のことも含めています。

一戸建ての屋根裏

内覧会は採寸するだけではない、検査機会だと理解する

最初に注意すべき点として挙げるのは、内覧会の本来の意義をよく理解しておくことです。

家具・家電の設置箇所などを採寸する程度で終えることのないように、正しく内覧会のことを理解しておくということです。この記事を読んで頂ければ、それは理解できるでしょう。不動産会社や建築会社からは、お披露目会のように説明されることがありますが、それだけで終えないようにしましょう。

内覧会は引き渡し日の2週間前までが理想(タイミングの注意点)

内覧会を実施するタイミングは重要な要素です。

内覧会で指摘した施工不具合などを補修対応してもらい、その後に補修後の状況を再内覧会などで確認する必要があり、ようやくその後に引き渡しをするのですが、内覧会と引き渡し日が近すぎるとこの適切な手順を踏むことが難しくなりがちです。

内覧会と引き渡し日の間には、7~10日間くらいはあけておきたいですが、理想は2週間以上あけておくことです。一般的には、2週間以上あれば、補修等の対応を十分にすることができるからです。

買主は立会いするべき

忙しい人にとって、引渡し前の内覧会に買主が自ら立会いすることも難しいという人もいます。また、対象物件から遠隔地に居住しているために、現地立会いが困難だという人もいます。

それぞれに事情があることはわかりますが、引き渡し前の内覧会は本当に大事な機会ですから、誰かに全てを任せてしまうのではなく、自らも立ち会って建物の状況などを確認することを強くお勧めします。不動産会社や建築会社に相談して、買主が立会いできる日程に行うよう調整することも考えましょう。

引き渡し後に問題が発覚してから、日程調整して立ち会っておけばよかった後悔している人の声を聞くこともあります。

補修結果を確認してから引き渡しを受けるべき

「内覧会の前後の流れ」のところでも説明したように、内覧会から引き渡しまでは以下の手順通りに進める必要があります。

  1. 内覧会(施工不良などを現地でチェック)
  2. 補修工事などの対応(建築会社が行う)
  3. 補修後の再検査
  4. 残代金の支払いおよび引き渡し

補修後の再検査において、補修工事の結果を現地できちんと確認することは、非常に重要です。スケジュールが厳しいときなどに、補修後の再検査をせずに済ませてしまう人がいますが、入居時に補修できていないことが判明し、トラブルになっている人もいます。

軽微な補修だけならば、建築会社から補修後の写真を提出してもらって確認する方法もありますが、軽微でない問題があれば、必ず現地で確認してください。

建物が完成してから内覧会を行う

着工より建築工事が遅延したとき、全体のスケジュールが厳しくなり、建物が完成していないにも関わらず、「とりあえず内覧会をしましょう」と建築会社から提案されることがあります。

未了工事が多い状態で実施しても、未了箇所は確認しようがないですし、養生シートなどがあって未了箇所以外まで確認できないこともあります。その結果、無理に内覧会を実施してもほとんど意味がなかったということもありうるので、建物が完成してから実施するようにしましょう。

未完成状態で引き渡しを受けない

建物が未完成の状態で内覧会をしてはいけないと説明しましたが、内覧会どころか、未完成なのに引き渡しを進めてしまおうとする建築会社がいるので注意してください。

引き渡しと売買代金もしくは工事請負代金の残金精算は同時にすることが多いですが、未完成物件に対して全額を支払ってしまうのはリスクが大きいです。支払った後に建築会社の対応が悪化したり、工事が余計に遅くなったりした事例はいくつもあります。

絶対に、未完成の住宅について引き渡しを受けたり、残代金を支払ったりすることのないようにしましょう。

引き渡し前に代金全額を支払わない

工事が遅延して未完成の新築住宅については、引き渡しをすることができません。しかし、建築会社側の一方的な都合で、代金だけは先に全額支払って欲しいと言ってくることがあります。

その会社の決算期末が近いときに、売上計上したいからという身勝手な理由で、このような要求をしてくることがあるのです。

もちろん、このような要求は買主としては拒否すべきです。出来上がった住宅と引き換えに支払うべきものですから、引き渡し前に代金全額を支払わないように注意してください。

同行依頼するホームインスペクション業者の選び方

ホームインスペクション業者の調査風景
ホームインスペクション業者の調査風景

内覧会にホームインスペクション業者を同行する場合、どの業者に依頼するか悩みどころです。

専門家を名乗る人・業者でも、その能力(知識・経験・ノウハウなど)はいろいろです。経験・実績が豊富な業者で、且つ一級建築士に担当してもらうことを最低ラインとして、各社の調査報告書のサンプルを見て比較するとよいでしょう。調査報告書のサンプルを公開していない、もしくは請求しても見せてもらえない業者は論外です。

料金の安さだけで依頼して後悔することのないようにしてください。2003年からホームインスペクションをしているアネストは実績・経験が豊富ですが、他社で依頼して納得できない人が再依頼する事例もありますので、注意してください。

アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。