ホームインスペクションの費用相場と料金だけでなく質と経験を考慮した業者選びのポイント

ホームインスペクションの料金相場と業者選びのポイント

住宅購入するときや新築・リフォーム工事をする際、また自宅のメンテナンスをするときなどに利用されるホームインスペクション(住宅診断)ですが、実際に利用するとどれくらいの費用がかかるのか心配になりますよね。全国にはたくさんのホームインスペクション業者があり、料金の設定も様々ですから悩みどころでもあります。

そこで、ホームインスペクションを依頼するとどれくらいの費用がかかるのか、その相場を紹介します。業者選びや利用するオプションの検討に際して参考にしてください。

ホームインスペクションとは?

ホームインスペクションとは?

費用相場の説明の前に、まずはホームインスペクションとは何かを解説しておきます。

施工ミスや劣化事象の有無をチェック

ホームインスペクションとは、住宅診断や住宅検査などとも呼ばれており、中古住宅の売買に際して利用される建物状況調査もインスペクションの一種です。

新築住宅においては、建物の施工状態をチェックして、施工ミスがないか確認します。中古住宅においては、建物の劣化状態をチェックして、補修等の対応が必要な劣化事象がないか確認します。

いずれも、建物の構造耐力や防水・断熱などの基本性能に関わる不具合を調査するという点において同じです。

ホームインスペクターは経験のある建築士が適任

ホームインスペクションを行う専門家のことをホームインスペクターや住宅検査員と言いますが、多くの場合は、建築士の資格を持つ人です。ただし、建築士であれば誰でも診断できるというわけではなく、住宅の設計や監理、工事管理の経験がないと適切な調査を実行することが難しいです。

利用されるタイミング

最も多く利用されるタイミングは、住宅を売買するときです。購入検討者(買主)が購入するかどうか判断するための参考材料として、または引き渡し前の最終チェックとして利用することが多いですが、中古住宅の売主が販売するときの販促資料などに使う目的で利用することもあります。

ホームインスペクションの料金に影響すること

料金に影響すること

ホームインスペクションの料金相場は、対象物件の場所や診断サービスの範囲、オプションなどによって異なります。一般的には、以下の要因がその価格に影響があります。

対象物件の種類

対象物件が一戸建てであるか、マンションであるか、共同住宅(アパート等)の一棟全てであるか、また、新築か中古かといった種類によって料金は異なります。また、新築の場合、完成時に1回だけホームインスペクションを行うのか、着工時から完成まで何度も行うのかによっても大きな差があります。

建物の大きさ(面積)

対象物件の建物の大きさ、つまり面積はホームインスペクションの料金に深い関係があります。一戸建て住宅や共同住宅一棟なら、建物の延床面積(附属建物も調査するならその面積も含める)、マンションなら住戸の専有面積の大きさです。

一般的には、面積が大きいほど、料金が高くなるのですが、大きいほど調査時間がかかり、労力も増えるので当然だと言えるでしょう。

インスペクション範囲(調査範囲)

ホームインスペクションの対象範囲、つまりどこまで調査するかによっても料金が異なります。業者によって、調査範囲が異なることもあり、依頼前にしっかり確認しておく必要があります。

一般的には、基礎、外壁、軒裏、屋根、室内の床・壁・天井、住宅設備(キッチン・トイレなど)、建具(窓・玄関・室内扉など)といったものが調査対象となっていますが、屋根や外壁は地上やベランダから目視できる範囲で行うことが多いです。

床下や屋根裏(小屋裏)は、点検口から覗いで目視できる範囲で行うだけの業者と、オプション料金を支払って奥まで進入して調査してもらえる業者があります。こういったことも費用の差に影響しますね。

地域差

対象物件の地域によって、ホームインスペクター(住宅診断士)の報酬、つまり人件費に違いがあるため、インスペクションの料金相場も地域により違いがあります。やはり、東京、大阪などの大都市近郊の方が地方より高い傾向があります。

ホームインスペクション業者の実績・経験

ホームインスペクション業務を長く行っていて、調査実績が多い業者は、経験が少ない業者より高めの料金設定となっていることが多いです。専門知識だけではなく、多くの実績・経験をベースにしたノウハウ・技術力には付加価値があるから当然の傾向とも言えます。

新築建売のホームインスペクション

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第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

ホームインスペクションの費用相場

ホームインスペクションの費用相場

ホームインスペクションの費用について、だいたいどれくらいの範囲であるか相場を紹介します。一戸建てかマンションかといった物件種別や建物の大きさ、オプションの利用有無などによって差があることが前提ですからご注意ください。

新築一戸建て(完成物件)

一戸建て住宅では、床下および小屋裏(屋根裏)へホームインスペクターが奥まで入って行って調査するかどうかにより、費用に大きな差があり、奥まで入ると費用が高くなります。

調査範囲料金相場
床下・小屋裏(屋根裏)を含まない5~7万円
床下・小屋裏(屋根裏)を含む8~13万円
屋上(ルーフバルコニー)0~3万円

建物によっては、広い屋上(ルーフバルコニー)があり、そこに階段や梯子などで登れることがあります。基本的には、安全に上がれる場合に限って調査対象となりますが、その費用は業者によって違いがあります。

新築一戸建て(建築中の複数回の検査)

建築中の住宅検査では、依頼者の要望によって、1回~10数回の検査依頼をすることになりますが、一般的には6~8回前後の依頼が多いです。そして、その検査回数によって検査費用に大きな違いがあります。

条件料金相場
検査1回あたり5~7万円
完成時に床下・小屋裏(屋根裏)を含む場合+4~6万円

たとえば、検査回数が6回なら、30~40万円くらいの費用が必要となります。検査回数が多いほど、細かく検査してもらえるメリットがある反面、負担が大きくなるため、予算との兼ね合いで回数を決めるとよいでしょう。

中古一戸建て

中古一戸建ては、新築一戸建て(完成物件)と費用相場が似ています。それは、調査できる範囲が同じだからです。ただし、築年数が古い住宅ほど、調査の所要時間が長くなる傾向にあることから、対象物件の条件次第では、新築より割高な価格設定としているインスペクション業者もあります。

調査範囲料金相場
床下・小屋裏(屋根裏)を含まない5~7万円
床下・小屋裏(屋根裏)を含む8~13万円
屋上(ルーフバルコニー)0~3万円

中古一戸建てのホームインスペクションの依頼に際しては、同時に耐震診断や既存住宅売買瑕疵保険の検査も依頼する人がいます。特に、既存住宅売買瑕疵保険を希望する人は少なくありません。これらをインスペクションと同時依頼する場合の費用相場は以下のとおりです。

メニュー料金相場
耐震診断2~5万円
既存住宅売買瑕疵保険の検査0~2万円
既存住宅売買瑕疵保険付き保証の保証料5~18万円

既存住宅売買瑕疵保険は、住宅検査事業者などが瑕疵保険付きの保証サービスを提供するという形であるため、保険料ではなく、保証料となっていますが、審査に適合して加入する場合にのみ必要とされる費用です。

瑕疵保険の審査基準に不適合と判断されて加入できる中古住宅は大変多いため、簡単に加入できると考えない方がよいです。

新築・中古マンション(一住戸)

新築マンションのホームインスペクションといえば、基本的には、購入したマンションの1住戸とその買主が専用使用できる共用部分(玄関ポーチやバルコニーなど)が調査対象であり、その調査費用を以下で紹介しています。

中古マンションの場合は、新築と同じ範囲(住戸内と専用使用できる共用部分)の他に、マンションのメインエントランスから対象住戸まで移動する途中で確認できる床・壁(外壁を含む)・天井などが調査対象となります。

新築・中古の別料金相場
新築(専有部のみ)4~5万円
中古(専有部+共用部の一部)4~6万円

中古マンションは、既存住宅売買瑕疵保険を希望することができますので、その費用も紹介します。

メニュー料金相場
既存住宅売買瑕疵保険の検査0~2万円
既存住宅売買瑕疵保険付き保証の保証料5~15万円

いずれの場合も、特別な専門機材を用いる調査などは、さらに別途で費用がかかることが一般的です。

ホームインスペクション業者を安さで選ぶと危ない

安さで選ぶと危ない

ホームインスペクションの料金に影響するものと料金相場を解説しましたが、ホームインスペクション業者を料金という数値だけで選んでしまうと後悔することになります。勘の鋭い人なら、料金に影響するものを読んだだけでも気づいていると思いますが、改めて安さで選ぶと危ない理由を紹介します。

サービスの質が低い可能性がある

料金が安いホームインスペクション業者は、調査範囲を最低限度だけのものに限定し、十分な時間をかけずに調査することが散見されます。また、調査後に提出される報告書も簡単なもので、後で見ても調査結果をよく理解できないものが多いです。

つまり、ホームインスペクション・サービスの質が低い可能性があるということです。

住宅建築やインスペクション関連の専門知識の不足

安くサービス提供している業者は、住宅の建築・設計やホームインスペクションに関する専門知識が明らかに不足していることがあります。既存住宅状況調査技術者という建築士なら誰でも取得できるレベルの資格があるだけで、知識が不足しているケースです。

なかには、建築士の資格すらもたずに営業しているような業者もあるので、十分に注意して業者選びをしなければなりません。

ホームインスペクションの経験不足

ホームインスペクションは、建築士なら誰でもできるというような簡単な業務ではありません。資格を取ったり講習を受けたりすれば、問題なく実施できる仕事でもありません。現場で様々な有益なことを経験できる仕事ですから、逆にいえば経験が本当に重要です。そして、そういった経験と実績に裏打ちされたノウハウ、調査マニュアルが必要なのです。

経験不足で営業している業者は、安い料金設定になっていることが散見されます。

以上のことから、ホームインスペクション業者を選ぶ際には、その料金だけではなく、サービスの質や経験、専門知識などの要因をしっかり考慮する必要があるのです。住宅購入は多額の費用がかかる重要な決定であり、適切なホームインスペクションは将来的な問題を予防し、資産価値を守るのに役立ちますから、安易な価格比較だけはやめておきましょう。

新築建売のホームインスペクション

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第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

インスペクション費用を支払う価値があるか(依頼するメリット)

インスペクション費用を支払う価値

多くの人が疑問に思うことの1つが、ホームインスペクションの費用は支払うだけの価値があるかどうかという点です。

先に結論を言えば、間違いなく、支払うだけの価値があるサービスですが、その理由を紹介します。

実際に多くの重大な不具合が発見されている

ホームインスペクションに、依頼するだけの価値があると言える最大の理由は、多くの住宅を診断してきた結果、本当に多くの住宅において、建物の構造耐力や基本性能(雨漏りを防ぐ、断熱性を高めるなどの性能)にマイナス影響を与える不具合が見つかっているからです。

論より証拠ですね。指摘事項の一部を写真で紹介します。

断熱材の劣化

床下の断熱材が落ちてきて、性能を発揮できななくなっています。

断熱材の劣化

基礎の不具合

基礎に著しいひび割れとジャンカがあり、構造耐力上に影響があります。

基礎の不具合

床の傾斜

床で傾斜測定したところ、基準値を超える著しい傾きがありました。

床の傾斜

外壁の不具合

外壁のシーリング材に著しい隙間があり、雨漏りリスクが高くなっていました。

外壁の不具合

指摘事例はたくさんありますので、以下も参考にしてください。

欠陥を知らずに購入して後悔している人がいる

ホームインスペクションを利用することなく、住宅を購入する人もたくさんいます。そういった人たちのなかには、購入後や居住後にいろいろな不具合に気づいて、「購入した時に依頼しておくべきだった」と後悔している人も多いです。

購入前に欠陥を見つけていたら購入しなかったような問題や、売主と補修費用などの負担について交渉していたような症状を後から知ると後悔するのも無理はありません。その時になって失敗したと考えるよりも、早めに利用することをお勧めします。

依頼者が依頼してよかったと言っている

ホームインスペクションの草分け的存在であるアネストでは、2003年より多くの住宅に対してインスペクションを実行してきましたが、実際に利用した人たちから、「依頼してよかった」という声が寄せられています。そのなかから、2つを紹介します。

新築一戸建て

利用して本当に良かったと思います。価格に見合う十分な価値があります。
担当者の北村さんも細かくチェックして頂き、安心して進めることができました。

自分が頼んだ工務店は信頼できる所だったので、大きな施工不良などは一切なく完成しましたが、それでも細かい修正ポイントを指摘頂き、素人では100%見逃してしまう内容だと思います。(知らない=気付くことは不可能)

建築中は毎日見に行くことは困難であり、途中で何が起きているのか?正しく施工されているのか?はぱっと見ではわかりません。毎回3時間以上の時間を掛けて各項目をチェックし指摘箇所はすべて速報+細かい報告書でご連絡頂けていたので安心感が高まった要素です。

頼んでおいて良かったと思いますし、もしまた家を建てる機会があれば絶対また依頼致します。

中古一戸建て

この度、急なご依頼にも関わらず予約時の段階から受付スタッフの方には迅速・丁寧な対応をしていただきました。

当日担当していただいた石神様は人柄も優しく、建物の状態や検査項目について豊富な知識で丁寧で分かりやすい説明していただき、安心しながら検査を見守ることができました。

特に確認しづらい位置にある屋根の状態を苦戦しながらも確認されている姿に プロ意識 を感じ、感銘を受けました。調査結果もスピーディに送付していただき感謝しております。

おかげ様で冷静な目で物件購入の判断を下せそうです。ホームインスペクションを実施して正解でした。ありがとうございました。

いかがでしょうか。

ここで紹介したのは、実際にインスペクションを利用された後にお願いしたアンケートへの回答内容です。他にも確認したい人は以下をクリックしてご確認ください。

新築建売のホームインスペクション

ホームインスペクションの依頼なら

第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

費用負担する人は誰か

ホームインスペクションを依頼するとき、その費用を負担する人が誰であるか質問を受けることがあるので、解説します。

費用負担者は、基本的には、ホームインスペクションの依頼者本人です。

住宅の購入検討者(買主)も売主も依頼することがあるため、そのどちらもが費用負担者になりえるということです。

購入した住宅に重大な不具合がある場合に、売主や建築会社が依頼者に代わって費用負担するケースはあるものの、一般的な住宅売買に際して利用するインスペクションでは、依頼者が支払うと理解しておきましょう。

ホームインスペクションを依頼する流れ

はじめてホームインスペクション依頼するとき、その進め方や流れがわかりづらいという意見を聞くことがありますので、紹介しておきます。基本的には以下の流れで進めていくことになります。

  1. 調査対象の物件情報の確認
  2. 不動産会社や売主へ打診
  3. ホームインスペクション業者へ見積り依頼と日程確認
  4. 正式に依頼手続き
  5. 必要資料の準備と送付
  6. 現地調査
  7. 報告書の受領

「1.調査対象の物件情報の確認」は、不動産会社などから提供される物件資料やSUUMOやHolmes、アットホームなどの不動産情報サイトで確認してください。インスペクション業者へその資料を共有すると見積りの確認も早くて便利でしょう。

不動産会社(仲介業者)や売主にインスペクションを入れたい旨の申し入れをしてください。ここで拒否されるようであれば、その物件をそのまま購入すべきかどうか慎重に検討しましょう。

現地調査には、できれば同行するようにしてください。現場で調査の様子を見ておく方が調査結果を理解しやすいですし、気付いたことを質問することもできるので、依頼者にとってメリットが大きいからです。

アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。