新築住宅の基礎の配筋検査とは?チェックポイント・第三者検査の必要性・費用・現地立会いを紹介

基礎の配筋検査とは?

新築一戸建て住宅を建てるときには、基礎や床組み、構造躯体、防水、断熱などの各工事の工程において、何らかの住宅検査が入ることが一般的です。その中でも、住宅の基礎部分の安全性への関心が高いこともあり、基礎工事の検査依頼を考える人は多いのですが、そのチェックポイントなどについては、知らないことも多いですよね。

ここでは、これから建築する住宅を契約した人や建築途中の住宅を購入した人を対象として、基礎工事のなかでも特に重要とされている配筋工事の検査について、そのチェックポイントや第三者検査の必要性、検査料金(費用)、現地立会いを推奨することについて解説します。

ぜひ、基礎工事が始まる前にお読みください。

基礎の配筋検査とは?

最初に、基礎の配筋検査についての基礎知識を紹介します。

住宅の基礎とは、建物本体の最も下部であり、最近の新築住宅の基礎は全て鉄筋コンクリート造です。基礎部分の場所については、以下の写真で見る方が理解しやすいですね。

基礎

この赤い矢印の部分が基礎です。

この写真は基礎が完成した後の状態ですが、この基礎コンクリートの内部には鉄筋があります。その鉄筋を施工する工事が配筋工事です。以下が配筋工事をした状態の写真です。

配筋工事

そして、配筋検査とは、この配筋工事を施工した状態で、施工不良がないかチェックする検査のことです。

配筋は、基礎を構成する大変重要な部位で、建物の構造・耐震性にも影響がありますので、このタイミングで検査しないという選択肢はないと考えるべきです。

ちょっと一言

昔の住宅では、鉄筋コンクリート造ではなく、無筋コンクリート造やコンクリートブロック造の建物も多かったです。建物の仕様レベルの進化により、今では鉄筋コンクリート造が当たり前になっているのです。

住宅検査の種類と第三者検査の必要性

配筋検査

ここで住宅検査の種類と第三者検査の必要性について解説します。

住宅検査の3つの種類

住宅検査は幅広く利用されていますが、基礎の配筋検査を行うものうち代表的なものだけでも以下の3つがあります。

  • 住宅性能表示制度の建設住宅性能評価に基づくもの
  • 住宅瑕疵担保責任保険に基づくもの
  • 消費者(建売住宅の買主、注文住宅の施主)が自分で依頼するホームインスペクション

検査に種類があるとなると、これらを理解するだけでも少し面倒に感じるかもしれませんが、大事なところですので、この知識は抑えておきましょう。これら3つについて説明しておきます。

住宅性能表示制度の建設住宅性能評価に基づくもの

住宅性能表示制度とは、建物の構造耐力や省エネルギー性能など、様々な建物の性能についてわかりやすく表示するための制度で、新築住宅でこの制度を利用する場合、設計段階(設計性能評価)と建築段階(建設性能評価)の2度にわたって審査・検査を受ける必要があります。

この建築段階(建設性能評価)における検査の1つに、基礎の配筋検査があります。

これは、住宅性能表示制度に基づいて設計したとおりに、現場で施工しているか確認する検査です。

住宅瑕疵担保責任保険に基づくもの

新築住宅は、売主または建築会社が、法務局に供託金を供託するか、住宅瑕疵担保責任保険に加入することのいずれかが義務付けられているのですが、住宅瑕疵担保責任保険に加入する物件の方が多いです。

この住宅瑕疵担保責任保険に加入するために、建築途中で現場検査を実施する必要があり、そのなかに配筋検査があります。

住宅瑕疵担保責任保険は、JIO、住宅あんしん保証、住宅保証機構などが提供する保険です。

この検査は、保険の基準に適合しているかどうか確認するものです。

消費者(建売住宅の買主、注文住宅の施主)が自分で依頼するホームインスペクション

多くの住宅が、住宅瑕疵担保責任保険を利用しており、さらには住宅性能表示制度も利用している住宅も少なくはありません。つまり、こういった制度に基づく検査が多くの物件に対して入っているわけです。

しかし、一方で、いつまで経っても欠陥住宅問題がなくならず、多くの住宅購入者が被害にあっている現実がありま、その欠陥工事は基礎配筋に関わることも含まれています。

前述した2つの保険等の制度は、施工不具合の有無を細かく確認するような検査ではなく、それぞれの基準に適合しているか簡単に確認する程度であるため、欠陥を防ぐのは難しいのです。

そこで、多くの消費者が利用するようになった検査が、買主や施主が自ら探した第三者の検査会社にホームインスペクションを依頼するというものです。

提出した設計図書(図面等)に基づいて、現場で施工不具合の有無をチェックする専門的なサービスです。

第三者検査の必要性

住宅検査の3つの種類のところで説明したように、それぞれの検査は、目的と詳細さという点で違いがあります。

特に、「消費者(建売住宅の買主、注文住宅の施主)が自分で依頼するホームインスペクション(以下、ホームインスペクション)」と他の2つに大きな差異があります。

前述した建設住宅性能評価や住宅瑕疵担保責任保険に基づく検査よりも、ホームインスペクションの方が細かく時間をかけてチェックしてくれます。前者2つが、10~15分しか検査しないところ、後者は40~60分くらいの時間をかけることが多いです。

また、ホームインスペクションでは、前者2つの検査で指摘されなかった施工不具合が見つかることもよくあります。よって、消費者が自分でインスペクション業者を探して依頼することの重要性が高いと言えます。

新築建売のホームインスペクション

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配筋検査のチェックポイント

基礎の配筋検査における具体的なチェックポイントを紹介します。項目の分け方にもよりますが、概ね以下の6項目に分けることができます。

  • 防湿シート
  • 鉄筋の配置(補強筋を含む)・ピッチ・継手の長さ・定着長さ
  • 鉄筋のかぶり厚さ
  • 鉄筋の波打ち(湾曲)
  • スリーブ等の配管周り
  • ホールダウン金物・アンカーボルト

以上の6項目について、以下で説明します。

防湿シート

基礎の底盤部分(ベース)の配筋検査の際には、配筋の下部にある防湿シートを確認することができます。この写真で見ると配筋の下にビニールのような物が見えますが、これのことです。

防湿シートは、地中から上がってくる湿気を防ぐ役割があるものです。ただし、最近は、床下換気をきちんととっているベタ基礎においては防湿シートを施工していない現場もあります。

施工している場合、シートの破れがないかチェックします。

鉄筋の配置(補強筋を含む)・ピッチ・継手の長さ・定着長さ

配筋検査の様子

鉄筋の配置や鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)が、基礎詳細図などの図面・仕様書のとおりに施工されているかチェックします。特に鉄筋のピッチが図面どおりになっている部分が見つかることは多いので、慎重に診ておくべき点です。

図面等で「@200」や「@300」と記載されているのですが、これらは、ピッチが「200mm」や「300mm」であることを示しています。

また、鉄筋の継ぎ手部分で鉄筋が2重になっている部分では、その重なり部分の長さ(=継手の長さ)をチェックします。基礎のコーナー部分では、鉄筋をぐるりと回りこませるのですが、そのように鉄筋を埋め込むことを定着といいます。その定着の長さもチェックします。

継手や定着の長さは、図面で40d、鉄筋がD13と記載されている場合、520mmとなりますので、この長さ以上であるか確認することになります。

鉄筋のかぶり厚さ

スペーサーとかぶり厚
スペーサーとかぶり厚

配筋検査で比較的、指摘事項として多く挙げられるのが、かぶり厚さの不足です。

かぶり厚さとは、コンクリート表面から鉄筋までの距離のことで、基礎の耐久性に関わるチェックポイントです。

図面や仕様書で規定されている以上のかぶり厚さであるか計測して確認するのですが、図面等に記載がない場合、一般的には、立上り(土に接する部分)のかぶり厚は40mm以上、底盤(土に接する部分)については60mm以上を基準として判断することが多いです。

かぶり厚の計測方法は、底盤部分においてはサイコロの厚みで、立ち上がり部分においてはスペーサーで計測します。

サイコロとかぶり厚
サイコロとかぶり厚

先に掲載した写真内にある丸い形状のものがスペーサーで、次に掲載(真上)の写真の中央付近にある立方体の物がサイコロです。

これらがあることで、コンクリートを打設したときに、かぶり厚を確保できるわけです。

鉄筋の波打ち(湾曲)

鉄筋が、真っ直ぐ綺麗に施工されている確認することも大事です。著しく波打っていて、湾曲している場合は、かぶり厚不足の要因にもなります。

スリーブ等の配管周り

スリーブ等の配管周り

基礎には配管等を通すための穴を計画的に設けることが多いですが、配管等の位置にあらかじめあけておく穴をスリーブといいます。基礎に穴があいているわけですからその周囲は補強する方がよいと考えるのが一般的で、補強筋で補強します。

補強筋の有無はその住宅の仕様によることなので、仕様書等で確認するか工事監理者に確認する必要があります。必要な補強筋の有無やスリーブ周りのかぶり厚がチェックポイントとなります。

ホールダウン金物・アンカーボルト

基礎の立ち上がり部分で重要なチェックポイントが、ホールダウン金物とアンカーボルトです。

ホールダウン金物とは、柱と基礎・土台を緊結する役割があります。次に、アンカーボルトとは、基礎と土台を緊結する役割があります。

ホールダウン金物もアンカーボルトも、その位置・本数が図面等のとおりになっているか、固定状況に問題ないかチェックします。コンクリート打設時の状況次第でこれらが著しく傾くなどして、土台等の施工に影響することがあるため、土台敷きの工程で再チェックするとさらに良いと言えます。

検査にかかる費用

基礎の配筋検査を第三者のホームインスペクション業者に依頼する場合にかかる費用(=検査料金)の相場は以下のとおりです。

検査料(税別)5~8万円/回

基礎の形状・規模・工程によっては、底盤と立上りの配筋に関わる検査を2~3回必要とするケースもあるので、その場合は、上の金額が回数分、必要です。

たとえば、ホームインスペクションの実勢が豊富なアネストでは、以下の2回のパターンが最も多いです。

1回目6万円
2回目5万円
合計11万円

基礎の形状が複雑な場合などは、依頼前にホームインスペクション業者に回数やタイミングについて相談して、見積り依頼するとよいでしょう。

現地への立会いがオススメ

基礎の配筋工事は、コンクリート打設後には目視できなくなる部分であり、且つ、建物にとって重要な部位ですので、配筋検査を依頼するのであれば、できれば検査時に現地に立会いして、検査の様子を確認することをお勧めします。

検査作業自体は、インスペクション業者に任せるとしても、その場で疑問点などを質問できることはメリットですし、普段は目にすることがないことを見て理解できること自体がメリットとなるでしょう。

自分で第三者に検査依頼しない場合であっても、建築会社から住宅瑕疵担保責任保険に基づく配筋検査日を聞いて現地立会いし、不明な点などはスマホなどで写真撮影しておくことをお勧めします。このとき、写真撮影した箇所が基礎のどの部分であるか後から明確に判断できるように基礎伏図などにメモしておくとより良いでしょう。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。