ホームインスペクション会社は自分で探すべき(不動産業者の紹介リスク)

ホームインスペクション会社

住宅を購入するときに利用するホームインスペクション(住宅診断)ですが、あなたはどのようにしてインスペクション会社を探して、依頼しようと思いますか?

不動産業者が、インスペクション会社を紹介・斡旋することもできるので、紹介してもらう人も多いですが、そこにはリスクがあることも理解しておく必要があります。不動産業者任せのホームインスペクション会社選びが一部で問題となっているケースがあるためです。

ホームインスペクションの依頼を検討している人が、依頼する前に知っておくべき不動産業者による紹介のリスクと買主にとってのデメリットを解説します。

ホームインスペクションの依頼ルート

住宅を買うタイミングでホームインスペクション(住宅診断)を依頼する人が増えたのは、売主にとっても買主にとってもよいことです。建物の状態をできる範囲で把握してから売買することで、購入後のトラブルを減らすことができるからです(無くすことはできないです)。

その依頼をするルートとして、以下の3つのパターンがあります。

  1. 依頼者が自分で探す
  2. 知人・友人に紹介してもらう
  3. 不動産会社に紹介してもらう

これらについて、以下で説明します。

依頼者が自分で探す

売主、買主ともに、Google等で検索して自分で探す人が多いです。検索すれば多くのインスペクション会社が出てくるので、見積りや対応可能な日程、調査内容などを問合せし、比較検討して依頼するパターンです。

業者の比較時には、価格だけではなく、調査内容や担当者の資格、報告書のサンプルは必ず確認しておきましょう。依頼する業者によって、調査サービスの質には小さくない差異があるからです。

知人・友人に紹介してもらう

ホームインスペクションは、何度も依頼する機会があるわけではないので、よく知っている業者があるということはほとんどないです。何も知らないので、インターネットで探すということに不安があるなら、知人・友人・職場の同僚などに利用した人がいないか聞いてみてはいかがでしょうか。

その感想などを聞いて、紹介してもらうのも1つの方法です。実際に、アネストでは、お客様の紹介で依頼する人は多いです。

不動産会社に紹介してもらう

不動産会社が知っているインスペクション会社を紹介・斡旋してもらうというパターンもあります。不動産会社なら、普段からインスペクション会社と付き合いがあるか、これまでの取引のなかで見てきていることが多いので、紹介できるという営業担当も多いでしょう。

買主や売主が、不動産会社に紹介してもらう理由としては、以下の3つが代表的です。

始めての利用でどこに依頼すればよいか知らない
夫婦共働きでご夫婦ともに忙しく、ホームインスペクション会社をゆっくり探す時間が取れない
不動産業者の担当者の対応に満足しており、信頼しているので任せても大丈夫だと考えている

不動産会社に紹介してもらえるなら、楽だということで、斡旋してもらう人もいます。

新築建売のホームインスペクション

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第三者の一級建築士によるホームインスペクション(住宅診断)は、住宅売買・メンテナンスなどに役立つ専門的な技術サービスです。施工不具合や補修すべき劣化事象の有無をプロに診てもらえる。

不動産業者にインスペクション会社を紹介してもらうメリットとデメリット

ホームインスペクションを不動産業者の紹介業者に依頼することが、いけないことというわけではありません。しかし、一部で問題になっていることがあるため、そのメリットとデメリット(リスク)を理解した上で判断しましょう。

メリット

紹介してもらうメリットは、シンプルです。

  • 探すために時間をかけなくてよい
  • 業者選びで深く考えなくてよい

こういったメリットがあります。つまり、楽ですよね。もちろん、最終的には自分自身で申し込み・契約をする必要がありますが、どの業者に依頼するか、必要書類の手配、日程調整なども不動産会社にしてもらえるなら、助かりますよね。

デメリット(リスク)

逆に、不動産会社に紹介してもらうことのデメリット、リスクについても考えておきましょう。それは以下の2点が大きいです。

  • 不動産会社とホームインスペクション会社の癒着リスク
  • 後で問題が起こったときに不安になる

不動産会社にしてみれば、インスペクションを希望する買主や売主に多く出会いますから、何度も診断現場に立ち会うことがありますし、ホームインスペクターと話し機会もあります。そして、会社によっては、インスペクション会社と提携しているケースもあります。

徐々にその両者の関係が深まっていくこともありますが、不動産会社の紹介に頼るインスペクション会社としては、不動産会社の意向に反する結果を出すと、次に仕事を紹介してもらえないという懸念が生まれるようになります。

こうなってくると、本当の依頼者(=お客様)が誰であるかわからない状況です。

癒着までいかなくても、こういった問題が起こりうることは、特に買主にとってリスクだと言えます。

不動産業者の紹介で心配される事例

ホームインスペクション会社探しを不動産業者任せにして失敗している方もいるので、注意してほしいと思います。1つ事例をご紹介します。

不動産業者からアネストへ電話でホームインスペクション(住宅診断)について問い合わせがありました。「買主さんから頼まれて住宅診断してくれる会社を探しています」とのことです。これ自体はよくあることです。

アネストでは、こういった場合、ご依頼者に直接、申し込みの意思確認をさせて頂くことを条件として不動産業者からの質問等にもお答えすることにしています。

その不動産業者から次のような質問がありました。

「基礎のひび割れはどれぐらいの大きさならダメという評価になるのですか?」

このような具体的な症状について、事前に質問されるケースでは、その回答内容によってそのホームインスペクション会社へ依頼するかどうか考えているときがあります。つまり、大丈夫だという評価を出してくれそうな会社を探しているのです。

その不動産業者が売主であっても、仲介業者であっても購入検討者に買って欲しいと考えているのは同じですし、当然のことです。その立場にある方にとっては、購入中止になりそうな結果を導き出すよりも予定通り買ってもらえる結果を導き出したいわけです。その不動産業者の希望にできるだけ合致しそうなホームインスペクション会社を探していることがあるのです。

こういった問合せは今までに何度も受けてきました。最終的には、依頼者ご本人とお話するのでご説明もできるのですが、不動産業者の思惑通りの回答をしていないときには、他のホームインスペクション会社を探しているはずです。その結果としてどのようになったかは確認できませんのでわかりませんが。

時間がなく忙しいときであっても、できるだけ依頼される方がご自身で探して検討し、依頼されることを強くお奨めします。

執筆者

アネスト
アネスト執筆担当
住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。
アネストのホームインスペクション

全国で第三者の一級建築士がホームインスペクション(住宅診断)を行うアネスト。新築・中古住宅の購入時やメンテナンス時などに建物の施工ミスや劣化事象の有無を調査することができる。