建物に欠陥や著しい劣化があっても家を買う

ホームインスペクション(住宅診断)という第三者サービスに対して、不動産会社の方が誤解していることがあります。もちろん全ての方ではありませんが。

それは、「ホームインスペクション(住宅診断)で建物に欠陥が見つかったり、著しい劣化などの問題が見つかったりすれば、ほとんどの人がその家を買わないだろう」という考えです。

床下のホームインスペクション

確かに、上記のように考えるのは自然かもしれません。しかし、アネストで13年ほどホームインスペクション(住宅診断)に関わってきましたが、何らかの欠陥や不具合などが見つかったとしても、その物件を購入する方の方が多いという事実があります。

住宅購入者がホームインスペクション(住宅診断)を利用する場合、その家を買うことを前提とされている方が多数を占めます。そういった方にとっては、ホームインスペクション(住宅診断)は最終確認のようなものであり、少々の問題が発見されたとしても購入を中止しない方の方が多いものです。

買ってから知るよりも買う前に建物の状態を知っておきたいのです。中古住宅や建売住宅の売買の流れのなかで、今までは建物の専門家が介在することはほとんどありませんでした。大きな買い物をするにも関わらず、建物に関する専門知識のない人たちだけで取引されてきた方が異常かもしれません。

営業マンに聞いても建物に関して的確な回答を得られることは少ないなかで、購入者が専門家に相談するのは自然な流れだと言えます。今のように多くの方がホームインスペクション(住宅診断)を利用するような市場になるのが遅すぎたぐらいですね。

もちろん、調べた結果として、大きな欠陥などがありその補修に多大なコストや手間がかかるとなれば、購入を中止される方もいます。それは当然の判断でしょう。そんな物件でも気づかずに買って欲しいと考える不動産業者もいるかもしれませんが。

それともう1つ、購入を中止するケースとして代表的なものは、不動産会社から聞いていたことと診断結果が違ったというケースです。たとえば、「屋根裏で雨漏りしたが補修してもう完全に治っている」と不動産会社から説明を受けていたのに、ホームインスペクション(住宅診断)で屋根裏の調査をしてみたところ、明らかに今でも漏っているというようなときです。

他にも「この壁は撤去できますよ」と聞いていたものが、実は容易に撤去できないということもあります。

こういったことは日々のホームインスペクション(住宅診断)のなかでよく遭遇することですが、営業マンが安易に適当な説明をしていたことが明らかになってしまい、不信感が大きくなった結果、購入中止となりやすいです。

執筆者:荒井康矩ホームインスペクションのアネスト