新築した住宅の完成後に行う内覧会(施主検査)に誰が立会うべきか

新築住宅を注文建築で建てたり、建売住宅を購入したりすると、建物が完成(竣工)した後に、施主や買主が、その建物の施工状態を確認する機会として、施主検査が実施されます。これは、内覧会とも呼ばれることがあります。
この内覧会は、建物の基礎や外壁、床、内壁、天井、建具、水回り設備などについて、施工不具合がないか確認する大事な機会であり、多くの人が、ホームインスペクション業者に同行依頼して、チェックしてもらっています。もちろん、施主が自らチェックすることも多いです。
多くの人によって、内覧会に参加するのは初めてのことですから、わからないことも多く、当日の現場の様子を想像しづらいですね。「内覧会には誰が立会うものですか?」と質問を受けることも多いです。
今回のコラムでは、新築一戸建て住宅の内覧会(施主検査)で立ち会う可能性がある人と、それぞれの役割について解説しますので、新築を買って完成・引き渡しを待っている人に役立つ内容となっています。
内覧会に立ち会う可能性がある4者とは?

まず、内覧会に立ち会う可能性がある人について、一覧で紹介します。
- 施主・買主(住宅の購入者)
- 売主
- 施工者(工務店)
- 不動産仲介業者
以上の四者です。
ここで示している施主とは、注文住宅の発注者です。買主とは、建売住宅の購入者です。つまり、どちらも最終消費者のことを指しています。
売主は建売住宅の場合に限定されますし、建売住宅の場合、売主と施工者が同じ会社やグループ会社であることも多いです。また、建築業界は多重請負構造になっていますので、下請けの工務店などが存在しており、これらの業者が立会う可能性もあります。
不動産仲介業者も、原則として建売住宅の場合にのみ立ち会うことがあり、注文建築の場合、建物は仲介していないので、立ち会うことはありません。稀に、土地の仲介をした業者が、工務店を紹介した流れから立会いするケースも見られますが、非常にまれです。
職種別の立会い有無と役割

施主・買主以外の売主、施工者、不動産仲介業者については、そこに勤めている人の職種がいろいろありますから、どの人が立会いするものか説明します。
営業担当者
最初に紹介するのは営業担当者です。
建売住宅の場合は、土地・建物を販売する担当者で、売主の営業や不動産仲介業者の営業がこれに該当します。売買契約を締結した途端に、その後の連絡がほとんどなく、フォローしなくなる人もいなくはないですが、一般的には建物竣工後の内覧会に立ち会いされます。
引き渡しを終えるところまで担当するのが一般的な対応の仕方です。
現場監督
次に紹介するのは、現場監督です。
現場監督は、着工時から完成するまでの間、工事の手配・管理、現場の安全管理、品質管理などを担う立場で、もっともその現場のことを把握している立場です。こちらも、内覧会に立ち会うことが多いですが、会社によっては立会いしないこともあります。
また、現場監督は、日曜日が休日となっていることが多いこともあり、監督が出席する内覧会は、日曜日以外に実施されることが多くなっています。
設計者・工事監理者
住宅などの建築に際して、必ず、設計者や工事監理者がいます。設計者が、建物の設計(図面などを作成)することはイメージできると思いますが、工事監理者が何をする人がイメージできない人も多いでしょう。
工事監理者は、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているか確認する業務を担っています。設計図書のとおりに施工していない場合、この監理者が施工者に対して対応を指示などしていくものです。
そして、設計者と工事監理者は同じ人が兼ねていることが非常に多いです。
その業務内容・役割を考えれば、大事な立場の人ですから、内覧会に立ち会いしそうに思えますが、実際には立会いしないことが多いです。工事監理者は、名義だけのようになっていて(もちろんよくないこと)、建築中に現場をほとんど見ていないことも多いくらいです(このことは、昔から業界でも問題だとする意見が多いですが、改善されていません)。
工務店の社長・棟梁・大工など職人
小規模な工務店に工事を発注した場合、その会社の社長が内覧会に立ち会うことも少なくありません。その社長の考え方や忙しさ、スケジュールにもよりますが、契約時と中間検査、施主検査には立ち会うと決めている社長もいます。
施工者に関する人では、現場監督や社長以外に、その現場の棟梁的な人(現場監督以外の現場のリーダー的な人)や大工といった職人が立会うケースも稀に見られます。建築の現場にはいろいろな下請け業者(基礎・電気・設備)など入りますが、それらの全ての人が施主検査に立ち会っているケースもありました。
一般的にはそこまでされるケースはなく、施工者からは現場監督だけが対応しているケースが最も多いです。
営業担当者の上司
建売住宅の場合、営業担当者以外にその上司が内覧会に立ち会うこともあります。不動産仲介業者の営業担当の上司が立会うことはまずないですが、売主であれば、ありうることです。そのときに、はじめて売主の社長と買主が面会することもあります。
ホームインスペクション業者を同行するときの立会い

内覧会には、ホームインスペクション業者に同行依頼する人も多いですが、インスペクター(住宅を検査する専門家)が入る場合、立会い時間(=調査時間)が長くなることもあり、現場監督や営業担当者の立会い時間を調整することも多いです。
内覧の開始時間から最後までずっと立ち会うと、立ち会う人たちの待ち時間が長くなることもあり、最後の1時間くらいで合流するスケジュールを組むことが多くなっています。ただし、施主(または買主)は、調査内容と結果をより理解するためにも、ずっと立会いすることをお勧めします(絶対ではないですが)。
まとめ
新築住宅の引き渡し前に行う内覧会(施主検査)に誰が立会うのか、それぞれの役割がどういう内容化について解説しました。
内覧会に立会いする最も多いケースは、以下のメンバーです。
- 施主・買主(住宅の購入者)
- 売主の営業担当者(建売住宅の場合)
- 不動産仲介業者の営業担当者(仲介している場合)
- 現場監督
ただし、建売住宅であっても、仲介業者に任せている場合には、売主の営業担当者が立会いしないことも少なくありません。
内覧会の当日に誰が立会いするか、前もって理解しておくことで、慣れない機会へより対応しやすくなることでしょう。しっかり準備して、よりよい内覧会にできるといいですね。
執筆者

- 執筆担当
- 住宅購入や新築、リフォーム時のホームインスペクション(住宅診断)を行うアネストが執筆、監修している。