築10年未満の木造中古一戸建てのホームインスペクションの事例 No14

築10年未満の木造中古一戸建てのホームインスペクションの事例 No14

住宅コンサルティングのアネストが行ったホームインスペクション(住宅診断)の現場から、実際にあった指摘事例やアドバイスなどを見て、住宅の購入やリフォーム・補修などに活用して頂くレポートの第14弾で、今回のレポートの対象物件は、築10年弱の木造軸組工法2階建ての住宅です。

このホームインスペクションは、売買契約の前にご利用頂いていますが、契約前の実施が当たり前になりつつありますね。

建物外部・外構のインスペクション

アネストが行うホームインスペクション(住宅診断)の特徴の1つとなっているのが、外構部分の確認です。一般的なホームインスペクションでは、外構までは調査対象となっていないことが多いです。しかし、外構に関する問題が購入後に発生することもあることから、アネストでは目視調査を行っています。

塀の劣化

道路から敷地内へ入る箇所に3段の階段があるのですが、その階段の両サイドには塀が構築されています。階段と塀の間は大きな隙間があるのですが、階段と塀は一体で構築しているものではないので、これ自体は問題ありません。しかし、塀の基礎が十分ではなく築後10年未満にもかかわらずぐらついていました。

塀が倒壊してしまうと、周囲の物を傷めることもありますが、何より子供が近くで遊んでいるときや通りがかりの人がいるときには非常に危険です。

また、この3段の階段も大きく欠けている部分がありますが、劣化状況から新築時の施工品質に問題があった可能性が考えられました。外構全体の施工業者の質に問題があった可能性を考えた方がよいものです。

建物外部のインスペクション

建物本体のインスペクションですが、まずは建物外部(外壁・基礎など)から調査を進めていきました。

外壁の苔・カビ

外壁は少し離れたところから見てもわかるほどに苔が生えて変色しているように見えました。そして、全体的にカビっぽくなっています。たまにこういう建物外壁が確認されますが、通風・日照の良し悪しを確認した方がよい物件ですね。

敷地内の地面も湿っぽい場合は水はけが悪い土地である可能性も考えなければなりませんし、その場合は床下の状態もよく確認したいところです。

苔やカビがあったものの、ひび割れなどの問題はなく安心できるものでした。

屋根

勾配のある一般的によく見られるスレート葺きの屋根でした。屋根面は庭やベランダから目視できる範囲において簡易的な確認を行いますが、特に問題は見られませんでした。

ちなみに、2階建ての2階の屋根は見づらいですが、1階の屋根はベランダからよく見られますから、必ずチェックしておきたい箇所です。このとき、雨どいに枯れ葉などが詰まっていないかも確認してください。この物件では全く問題ありませんでした。

基礎

建物外部から見る基礎は、表面にモルタルが塗られておりますので、コンクリートを直接に確認できているわけではありませんが、それでも何か症状が出ていないか目視調査や打診棒による調査で確認していきます。この物件では、基礎の状態はよく問題はありませんでした。

建物内部のインスペクション

建物内部(屋内)については、玄関から始まり、リビング・居室、廊下、キッチン、洗面室、トイレなどを順に調査していきます。今回の物件では、床や壁の傾き・歪みなどの問題はなく、設備関係の動作チェックでも問題は確認されませんでした。

内装材は築10年程度の劣化は見られますが、これは特に問題ではありません。

水道を使用できましたので、キッチン・洗面台などで排水テストを行いましたが、こちらも全く異常はありません。

床下や屋根裏の内部についても点検口から確認できました。点検口から覗いて見える範囲は限られますが、確認できた範囲では構造躯体に何ら問題はなく、断熱材の設置状態もよかったです。

ホームインスペクションのまとめ

今回のホームインスペクション(住宅診断)のまとめですが、建物本体については建物外部・内部共に非常に状態がよく、新築時の大工仕事の良さが感じられるものでした。新築後も比較的良好な状態が保たれているので、今後も必要なメンテナンスを怠ることがなければ、長く安心して暮らしていけるものです。

建物本体に比べて外構工事の品質が残念なものでしたが、建物本体と外構の施工業者が別の会社であったようです。外構は購入後、早期に補修を考える必要があります。