大手ハウスメーカーの住宅にホームインスペクションは必要か？

建物の状態を知り、購入判断の参考にしたり補修工事を依頼したりすることに活用できるホームインスペクション（住宅診断）ですが、このホームインスペクションは大手ハウスメーカーが建築する住宅に対しても必要なものでしょうか。

アネストに寄せられるホームインスペクションに関するご質問は多岐に渡るものですが、上記のように「大手メーカーの家にホームインスペクションをする必要がありますか？」とのご相談が寄せられることは決して少なくありません。

ホームインスペクションの主な利用目的を整理してみましょう。

〇新築住宅の場合

• 購入判断の参考とする
• 不具合があれば補修して頂くよう指摘する

〇中古住宅（購入前）の場合

• 購入判断の参考とする
• 不具合があれば購入後に自分で補修するときの参考とする
• リフォーム・リノベーションの参考とする

〇ご自宅の場合

• リフォーム・リノベーションの参考とする
• 不具合があれば購入後に自分で補修するときの参考とする
• 1度も専門家に診てもらっていないので建物の状態を把握したい
• 売主の定期点検前に点検したい

ざっと挙げてみたところ、こんなところでしょうか。人によって、他にも様々な目的がありうることですが、主な目的は以上です。

「大手ハウスメーカーが建築した住宅だから不要かな？」と考える理由は、「大手ハウスメーカーだから手抜き工事はしないだろう」と予想していることが多いのではないでしょうか。

これはその住宅を新築するときの施工品質の問題についての心配ですね。中古住宅や既に居住しているご自宅の場合は、新築時の施工ミスだけではなく、劣化による問題が大きな調査テーマですから、大手とかハウスメーカーが建てたとかいう事実はあまり関係ありません。

大手ハウスメーカーの住宅であっても、必ず劣化は進んでいきます。今までに居住されてきた方の住まい方、使い方によって建物の状態は異なりますので、例え同じ建て方をしていても診断してみないとわかりません。

新築の場合はどうでしょうか。

確実に施工ミスがない、もしくは極めてその可能性が低いのであればよいですが、実態はそうではありません。アネストでは、大変多くのホームインスペクション（住宅診断）を行っておりますが、大手ハウスメーカーであっても施工ミスが怒っている現場があります。

ただ、他の分譲業者に比較すれば、平均的には大手ハウスメーカーの方が施工品質を保っていることが多いです。これは弊社の実績、経験からの考えです。こう書きますと真面目にやっている中小の工務店に怒られそうですので、真面目にマメに現場管理、施工監理をしている工務店も多いことも書いておきたいと思います。

大手ハウスメーカーとローコスト住宅を多く展開する会社と比べれば、施工品質には差があると言えますが、これをもってホームインスペクションを不要と決定づけるのは無理があるでしょう。アネストのお客様で大手メーカーでも依頼しておいてよかったという声も少なくないです。

執筆者：荒井康矩（ホームインスペクションのアネスト）