築15年の中古住宅のホームインスペクション(住宅診断)の事例 No12

住宅コンサルティングのアネストが行ったホームインスペクション(住宅診断)の現場から、実際にあった指摘事例やアドバイスなどを見て、住宅の購入やリフォーム・補修などに活用して頂くレポートです。

今回のレポートの対象物件は、木造壁式工法2階建ての住宅で築年数は15年です。

建物外部のインスペクション

まずは、建物外部からインスペクションを行います。

軒裏・雨樋・バルコニー

軒裏や雨樋、バルコニーには、ひび割れや金物のぐらつき、腐食などの問題はありませんでした。

但し、バルコニーはアルミ製の既製品を対象住宅に後付けで設置したものですから、外壁へ取り付けた箇所から漏水することがよくあります。該当箇所は外部からも内部からも入念に確認したところ、調査時点では異常はありませんでしたが、購入後もたまに点検することをアドバイスしました。

基礎のひび割れ(クラック)

基礎を外部側から見ていくと換気口の周囲でいくつものひび割れ(クラック)が確認されました。いくつもの換気口周りでひび割れがあり、最も大きなもので、0.4mmの巾・4mmの深さが確認されました。

基礎のひび割れ(クラック)

このような症状の場合、床下側から見た基礎の状態が気になるところですが、床下へ進入して実施する床下の詳細調査というオプションのインスペクションをご希望でしたので、床下側からも確認することができました。

床下からの確認結果は、後半に述べます。

○外壁・玄関ポーチ・外構

建物外部では、外壁や玄関ポーチ、外構もチェックしていきましたが、特に問題となる症状がありません。外壁はモルタル仕上げでしたが、ひび割れや剥離などの症状もなく状態はよいものです。

室内のインスペクション

建物外部の調査を終えた後は、内部の調査へと移ります。

床・壁・天井・建具など

リビングや居室などで床や壁、天井の傾きがないか計測していきましたが、問題ないものでした。目視でひび割れなどの心配される症状もありません。

ドア・サッシなどの建具関係も動作チェックと目視確認で異常が無いことを確認していきます。築15年の住宅としては、状態の良さが確認できました。

ユニットバス

浴室はユニットバスでしたが、その壁パネルの下部(床のパネルに近い位置)に変色が確認されました。接合部分から水分により変色したことが考えられ、漏水やカビの可能性も考えられます。床下で確認したところ、特に問題はありませんでした。

床下のインスペクション

基礎コンクリートの破壊

建物外部のインスペクションで換気口の周囲のひび割れ(クラック)の指摘があがりましたので、床下から見た基礎の状態が心配されます。床下へ進入して換気口の周囲を確認したところ、基礎コンクリートの一部を破壊している個所が見つかりました。この箇所については、破壊時の衝撃などが外部のひび割れに影響した可能性もあります。

基礎の破壊

状況から、基礎に換気口を設置する際に基礎を破壊したものと思われます。破壊したままの状態になっており、鉄筋が露出しているために錆の進行が心配されますし、換気口の周囲のモルタルの劣化により空隙ができる可能性もあります。

このまま放置していては、さらに問題が大きくなるでしょう。

断熱材・給排水管

床下では基礎などの構造部分以外にも様々なものをチェックすることができます。例えば、断熱材の状態や給排水管の状態もそうです。もちろん、シロアリ被害の有無も確認します。

床下を調査した結果、洗濯機の排水管にトラップが無いことがわかりました。排水口と排水管の設置状態によっては、匂いが逆流して室内へ入ってくる可能性がありますので、配管を変更などの対応も考える必要があります。

屋根裏(小屋裏)のインスペクション

床下に続いて屋根裏のインスペクションも行います。屋根裏もオプションの依頼を頂いていたため、屋根裏へあがって安全に移動できる範囲において細かくチェックしていきます。

屋根裏のインスペクション

断熱材の状態に問題はなく、野地板(屋根の裏側)などにも漏水痕もありません。構造材にも問題はありません。

今回のホームインスペクション(住宅診断)では、基礎のひび割れとコンクリートの破壊が一番大きな指摘となりました。基礎の破壊は、普通に生活していてもわからないところですし、これまで居住してきた人も知らなかったと思われます。

換気口の設定を依頼したものの、それを請け負った施工業者に問題があったと思われます。見えない箇所だからといって、破壊したまま放置されていたのでしょう。床下の確認の重要性がよくわかる事例でした。