ホームインスペクションの費用は誰が払うべきか?

建物の状況を把握するために行う建物診断であるホームインスペクションですが、この費用は誰が負担するべきでしょうか。住宅を購入しようとしている方から、このご質問を頂くことがあります。

ホームインスペクションの費用負担

住宅の購入判断のために購入希望者がインスペクションを利用するわけですから、やはり購入希望者が費用負担するのが一般的なことです。ときには「まだ買うと決まったわけではないのだから、売主がホームインスペクションの費用を支払うべきではないか?」と購入希望者から聞かれることもありますが、そういったことはほとんどないでしょう。

不動産会社が売主である場合、その不動産会社が費用負担しているケースも稀にあります。もしくは、不動産会社が指定するホームインスペクション会社を利用すれば負担してくれるということもありますし、不動産会社の社員が実施するというケースもあります。

しかし、これらはどうしても不動産会社よりのホームインスペクションになってしまうリスクがついてくるため、不動産会社に任せず買主が自分自身で費用を支払って利用する方がよいでしょう。

ホームインスペクションの料金(費用)」にも記載しているように、その料金は5~15万円程度です。この負担を惜しんでリスクを負うかどうかです。一生に何度も買うことのない資産となる住宅ですから、かけるべきところに投資してもよいのではないでしょうか。

逆に中古住宅の売主(一般個人の方)が売る前にホームインスペクションを入れるということもあります。ほとんどの場合、買主が希望して利用するものですが、なかには売主が希望することもあるのです。その目的は「売れやすいのではないかという期待」が大きく、ついで「売主の瑕疵担保責任というリスクの排除」が目的としてあげられることがあります。

売主依頼のホームインスペクション

確かに売主がインスペクションをしている物件であれば買主がする必要も無く、喜ばれる可能性はあります。しかし、買主目線でみれば100%信用してよいものかと思案するところでもあります。もちろん人によって解釈が異なるところではありますが。

売主が自らの意思でホームインスペクションを入れるのであれば、もちろん売主が費用を負担することになります。

そして、購入後に何らかの不具合や欠陥の被害にあった場合の検査費用はどうでしょうか。例えば、購入した新築住宅で雨漏りしたときに雨漏りの原因や被害範囲を検査しなければなりません。その費用負担はどうなるのでしょうか。

新築した建築業者が自社で検査することが初期対応ですが、それは当然ながらその新築業者の負担で行うものです。しかし、買主が新築なのに雨漏りを起こす住宅を建築した会社を信用できないと考えて、第三者の検査会社のインスペクションを利用することもあります。買主の希望としては、その費用負担を新築業者に求めたいところですね。

これについては、新築業者が費用負担に応じるケースと拒否するケースがあります。買主としてはしっかり交渉して負担を求められてはいかがでしょうか。ちなみに、築10年以内であれば瑕疵保険の対象として保険金で検査費用が支払われることもありますから、新築業者から保険会社に請求できることも伝えて交渉することも考えてください(この事実を知らない建築業者も多い)。

執筆者:荒井康矩(ホームインスペクションのアネスト

 
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